自動運転技術の利点は明らかだが、皆が利用しようとすればするほど都会では渋滞がひどくなり、利用者の満足度は下がることが目に見えている。結局、通勤に自動運転車を利用できるのは都会以外か、自動運転車ばかりになる次世代を待つしかない。
この問題を解消する方法は「水道管にもっと多くの水を流すにはどうしたらいいか」と同じ理屈だ。すなわち菅をもっと太くするか速度を上げるかしかない。
「菅をもっと太くする」ために、多くの箇所で道路幅を増やして車線を増やすことも、ましてや新たなバイパス道路をそこかしこに建設することも、都会では残念ながら非現実的だ。もちろん「空飛ぶクルマ」が実用化されれば「管」は無限大になるが、それはいつのことになるやら。
自動運転車ばかりになれば「速度を底上げする」ことも選択肢に挙がるだろうが、それが可能になるのは20~30年先となろう(しかしその時には労働人口が減って渋滞も解消されようし、5Gの普及とその他のテクノロジーの進化によってそもそもオフィスや現場に「出勤する」必要すら無いかも知れない…)。
つまり結論としては、いくら自動運転が技術的に可能になっても、当面はそれを通勤・通学に利用できるようになるのはもともと交通量の少ない地方だけということになりそうだ。
しかし日本では、大都市圏への人口一極集中がこれ以上進まないためにはそのほうがよいのかも知れない。
社会インフラ・制度
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。 ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/ ✅中小企業向けの経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。https://www.facebook.com/rashimbanclub/
