利便性と時代の流れを理由に学校へのスマホ持ち込みを安易に解禁することは、日本の子どもたちの精神の健康と脳発達にとって大きな脅威となる。徹底的にその害毒を教え込むことができるか、さもなくば禁止のままのほうがずっとマシだ。
ゲーム依存症の場合は本人も周りもその異常さに気づきやすいので抑制力も働こうが、スマホ依存症の場合はスマホから情報を得ているだけと捉えられてその深刻さに気付きにくい。
しかしこの依存症患者は近年急増しており、総務省の調査では「特に思春期青年期年代でスマホ依存傾向が高い」という結果が出ている。ましてや小中学校へのスマホ持ち込み解禁になると、まだ自我が確立していない年齢ゆえに周囲に影響されてスマホを手放さない子どもたちが増えるだろう。
放っておけばかなりの割合の生徒が四六時中(家でも学校でも登下校時でも)スマホを使うようになり、スマホ依存症の子どもが急増する懸念が強いというのは全然うがった見方ではないだろう。
そしてスマホ依存気味になると、恐ろしいことに脳の機能が低下し、注意力も学習能力も低下してしまうことが、幾つもの研究や患者急増の事実から裏付けられている。「スマホ脳過労」とか「オーバーフロー脳」とか、「スマホ認知症」などと呼び名はまだ定まっていないが、脳神経科医の間では既知の症状だそうだ。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4249/
https://www.j-cast.com/tv/2019/02/20350802.html?p=all
要はスマホの使い過ぎで脳が「ゴミ屋敷」状態になってしまうのだが、この症状は年齢には関係なく、アウトプットに比べインプットが過剰に行われることで進行するとされる。
学習によるインプットが続きやすい子どもたちが、スマホ依存になってさらに情報を過度にインプットする生活を続けると「スマホ脳過労」に直結しやすいのだ。
つまり学校へのスマホ持ち込み解禁→スマホ依存症の危険増大→「スマホ脳過労」の発症という構図だ。よかれと思ってスマホを与える親の行為が子どもの脳と学習能力を衰えさせるという皮肉な結果を生みかねないのだ。
ではどうすればこのリスクを極小化できるのか。ズバリ、「スマホ持ち込みの解禁」前に徹底的に子供たちにスマホの使い過ぎに伴う害毒(スマホ依存症、「スマホ脳過労」化)と、それを避けるための適正なスマホとの付き合い方を学校で教え込むしかない。
そのためには教師がスマホ(およびPC)による依存症や「スマホ脳過労」化の問題を十分理解、腹落ちした上で熱を込めて対処法を訴えないと、好奇心旺盛で注意散漫な世代の子どもたちには浸透しないだろう。
その他
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/ 弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/ 代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/