ロジカルシンキングを越えて:11.面白くない病とその処方箋

画像: ぱくたそ

2018.09.26

経営・マネジメント

ロジカルシンキングを越えて:11.面白くない病とその処方箋

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。

「そんなことは知っている。」

「なんか違うんだよね。」

「面白くないんだ。」

といったセリフが経営者から聞かれる。経営者がそういっても、無視して実行するようなたくましい企画スタッフがいれば頼もしいですが、たいていは轟沈します。まれに、「じゃあ、社長の仮説はなんですか?」と切り返す猛者もいますが、「それを考えるのがお前の仕事だ!」と一喝されるでしょう・・・。

ただ、社長のセリフからなんらかのものを感じ取って、更に上の企画を作り出せるたくましい企画マンもいますが、そういう人はこのレベルに達した人の1割~2割程度だと思います。ここが、日本のできる企画マンの悩みだと思います。

ここを越えるには、現状改善型の企画から未来を踏まえた新しい枠組みを踏まえた企画を作れるようになる必要があります。たまに、「企画は半歩先を行くからいいんだよ」と訳知り顔で言う人がいますが、それは広告表現などの比較的リードタイムが短い物事の企画のお話です。戦略立案や全社の改革に近い領域での企画は時代の数歩先を行かなければ、大企業の経営者には響きません。

経験論ですが、経営者が「面白くない」を連発する企画会議で、経営者が典型的に漏らすのは、

「これじゃあ未来が見えないんだよ。」

「顧客の進化がわからないよ。」

「これで、うちの会社が優位性を今後5年保持できると言うのかい?」

といったセリフです。

これは、世の中が今後、こういうふうに変わっていく、それに伴って顧客がこういうふうに進化する、業界、競合もそれにあわせてこのように変わっていくのではないか?といったことに仮説がないと言っているのです。

それでね、こういう壁にぶつかった時にビジネス書に戻ると、先に述べたようなあんまり筋の良くない、しかし日本では大人気の格言集を書いている学者さんの本や、流行の経営コンセプトに戻ったりしてしまう。

すごろくで言うと、5マス戻るとか、そういう感じです。そして経営者にぶつかって、また前の段階に戻る。そういうことを繰り返してしまううちに、「社長のOKが取れない企画ばかりの彼はうちでは価値がない」といった話になったりもするわけです。これでは救いがない。

顧客の進化を踏まえられたとしても、優位性の視点が抜けていたりする。もしくは、ステレオタイプな時代の変化、顧客の進化について述べてしまって、自社にとって本当に意味があるのか?というようなものになってしまうということもあります。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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