ロジカルシンキングを越えて:10.「仮説作りたい、論点切りたい病」とその処方箋

画像: ぱくたそ

2018.09.14

経営・マネジメント

ロジカルシンキングを越えて:10.「仮説作りたい、論点切りたい病」とその処方箋

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。

例えば、なんでも「少子高齢化」が起きているからこうなっている!と主張したりするということです。いや、そりゃ要因の1つではあるけど、もうちょっとマーケットって複雑じゃない?と言いたくなるような人。我々はこういう症状をマクロ病と名付けました。いますよね、全く同じマクロ的なテクニカルタームを連呼する人。

「当社の顧客が減ってきていますよね。」

「少子高齢化が原因だよ、きっと。」

「従業員のサービスレベルが下がっているからとか考えられるんじゃない?」

「うーん。きっとそれも少子高齢化で従業員の競争が減っているからだよ。」

「そ、そうか。競合に奪われているとか、そういうのはないのかな?」

「それもきっと少子高齢化だよ。競合は高齢者にイメージがいいからね。」

「沖縄支店での業績がいいですけど、これはどう読みますか?」

「いや、それこそ少子高齢化だよ。沖縄だけは少子高齢化が進んでいないんだ。」

ここまで来ると笑い話に見えるかもしれませんが、こういう人は実際にいます。同じマクロ要因ですべてを説明しようとする人。でもね、なんでも1つのマクロ要因に帰着して説明するなら、分析の意味がないじゃない?と思ったりするわけです。そのマクロ要因を踏まえた上で、コントローラブルな変数にどこで影響を与えて、我々は何をしうるのか?が大事だと思うのです。そして、おそらく1つのマクロ要因だけですべてが説明できるようなケースは非常に稀だと思います。

当然、逆の病もあります。もうわかりますよね?もう1つの病はミクロ病。ミクロな現象だけで物事を説明しようとする人です。

ある企業の成功事例ばかりにこだわり、「あの企業はこのやり方でうまくいったんだ!」を連呼して、なんでもそこから考えようとする。確かにこの目線は当初としては大事なのですが、自分の会社はその会社ではないし、時間軸上でもその成功事例と同じ時点で施策を実施するわけではないので、各要因の影響の仕方も変わってくるのです。

もしくは、たまたまお客さんからクレームが出たことにこだわり、それで全てを説明しようとする人。いますよね。もしくは、原因を特定の従業員に帰する人。「あいつが悪いからうまくいかない。」と。確かに5,6人の小規模なチームであれば、誰かが悪いということはありえるでしょう。人を取り換えられるなら取り換える、外すなら外す。そのほうがいい。

でもね、ある程度の規模がある場合は、原因を人に帰さないでシステムの問題として捉えたほうが、メリットが大きい場合も多いのです。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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