ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。
ただ、これはビジネスパーソンとして総合的に見たときにコンサルティングが優れているということが言いたいのではありません。こういう仮説を考える意味では優秀でも、ビジネスパーソンとしてどうかというようなコンサルタントも多いと思います。
とある、若くて優秀と思われていたコンサルタントが「この会社がダメなのは、元気がないからです。社歌を作りましょう」といって社歌を会議中に歌いだしてクビになったというような笑い話でしかないケースもコンサルティングファームの中では語り継がれていたりします。彼らは総合的にバランスが取れていて、仮説構築などもできる、ということではないのです。
やはり、バランス、常識も大事なのです。
さて、話を元に戻しましょう。
仮説思考において、我々が仮説思考の大学生と呼ぶレベルにまでなっていれば、もう「論点」についての解説は不要かな、とも思いますが、そう言われても困ると思いますので、書いていきましょう。
では、論点とは何か?
前にも書きましたが、仮説と論点は表裏一体です。仮説が思い浮かんだら、論点はその思い浮かんだ仮説が答えとなる問いを考えることによって導き出されます。
「え?逆でしょう?」と思いますよね。でも、おそらく思考の順序としては仮説が先で、論点が後から出てくるのが自然だと思います。ここが論点を使いこなす上でのポイントです。これはコンサルティング実務をやっている人の多くが納得してくれると思います。
エリヤフ・ゴールドラットの「ザ・ゴール」シリーズで解説されている思考プロセスは仮説のつながりを重視した書き方になっていて、論点という書き方はしていません。おそらく、論点風な書き方もできるのでしょうが、彼らは仮説優位な書き方をしています。
仮説が既にあるなら論点なんていらないじゃないか!と思うかもしれません。まあ、なくてもできなくはないでしょう。「ザ・ゴール」のように仮説の関係を分析するだけでプロジェクトを進めることもできなくはない。ただ、コンサルティングのプロセスにおいて、論点のほうが何かと都合がいいことが多いと思います。
論点表が書いてあると、いかにもこれから検討するかのように見える。確かに調査事項などはこれから調べるのですが、こういう結果が出るだろうという仮説ありきで調査が設計されています。そういうのって、受け入れがたい人もおそらくたくさんいます。そういう方はもっと客観的にやるべきだ!とおっしゃるでしょう。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
ロジカルシンキングを越えて
2018.06.11
2018.06.27
2018.07.05
2018.07.19
2018.08.06
2018.08.23
2018.09.01
2018.09.14
2018.09.26
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。