ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。
そういうことをする人に比べれば、この病にかかる人のほうが、はるかに企画職の適性があります。誠意があるのです。
「目的にかなう最小限の情報以外調べる必要はない」とおっしゃるコンサルタントの方も確かにいらっしゃいます。それは確かにそうなのですが、無駄を経ずして効率には辿りつけません。
実は、このセリフは「目的に関係ない情報を調べて無駄をした経験がある人」しか吐かないセリフです。これはかなり逆説的ですね。自分はそのプロセスを経たくせに、部下にはさもそうではないかのように言う。これは誠意ある物言いではありません。
また、最近のいわゆる若手ビジネスマンは「ゆとり教育」の影響もあってか、そもそも情報量が足りない場合が多いです。効率を追求するというのは、現状の仕事のアウトプットを出すことに対してするのではありますが、教育という意味では相当違います。
この段階にある企画職は未だ研修中のようなものなのです。お給料をもらっている以上、「自分は研修中なんだ!」と開き直ってはいけませんが、仕事を振る側から見ると、そういうふうに見えています。
そもそも、企画職をやろうとするならば、ベースとなる情報量が自分の中にあることが前提です。情報処理能力がある程度あるだろうという見込みのもとに、配属、採用されている。しかし、現実は意外とそうではない。
その現状を踏まえて、良心的な企画部門の管理職は、配属当初は調べものなどをやらせるものです。いきなり「当事業部の戦略オプションをまとめておいて」というような無茶振りをしたりはしない。
そうすると、巷に出ているいくつかのビジネス書の「解釈」は間違っています。
コンサルティングの世界に伝わる有名な格言「海の水を全て沸かそうとしない」を紹介したビジネス書もありました。
しかし、この格言があるのは、「海の水を全て沸かすようなプロジェクトが多数存在した」からです。メンバーを疲弊させ、つぶしてしまう側面もあります。2徹3徹は当たり前なプロジェクト・・・。それによる弊害はみんな痛いほどわかっている。
しかし、それによるバリューがクライアントにもプロジェクトメンバーにも、ある場合もあるのです。
それは何かと言えば、クライアントにとっては、大量の情報がそのときの目的のもとに効率よくまとまる価値がある場合があり、メンバーにとっては大量の情報処理をするという経験によって、情報処理能力が上がるという価値がある場合があるのです。
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。