ロジカルシンキングブームが去ってから長いものの、ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングには大いなる誤解や形式に偏った理解がよく見られます。ビジネスプランニングにおけるロジカルシンキングとは何なのか?何でないのか?誤解や偏った理解を含めて概観しつつ本当に使えるやり方を明らかにしていきます。
そういう時に、MECEという技術とロジックツリーという表現形式が共有されていれば非常に便利です。
プロジェクトの検討領域を大きく分けて領域別に担当者に渡していけば、検討領域が詳細化されていく。その詳細化されたものを見れば、クオリティ管理もできてしまう。
検討すべき論点を考え、詳細化していく際に、MECEは力を発揮します。企業のリソースは有限です。費用効果的に大規模な検討をするには、MECEに論点を分けていくことが非常によいのです。
余談ですが、ある時、「MECEなアクション」とおっしゃっているコンサルタントがいて、ちょっとびっくりしました。漏れなくダブりないアクションを実行するというのは、平均的なことをひたすらやり続けるということに他なりません。戦略概念の完全な否定ですね・・・。
検討する時に、重要なことがあるといけないので、あまり漏らしたくない。かといって、だぶっていると効率が悪い。
だから、コンサルティングの検討においては、論点をMECEに分けていくことが求められるのです。
しかし、だからといって、すべての領域を検討することなどできません。時間とコストの問題があってなかなか現実的ではない。そうすると、プロジェクトマネジャーによる判断で、どのあたりをより深くやっていこう、ということが決まるわけです。
どうやって決まるか?というと、乱暴にいえば感覚です。このへんに大事なことがありそうだ、と。
MECEなどのロジカルシンキングの普及時に、誤解が多々あったと思うのは、このあたりです。結局、要所要所で人間の感覚の「決め」があって、プロジェクトは進んでいく。全て「客観的」に根拠をもって進んでいくわけではない。
もう少し言えば、「客観的に」正しいアクションなど存在しません。未来にならなければその成否はわからない。
有名な例を引いてみてみましょう。2010年、南アフリカでサッカーのワールドカップが開催され、日本は大方の予想を覆し、ベスト16という結果を残しました。開催前のインタビューで日本代表の岡田監督が「ベスト4を目標とします」と言った時、サポーターが「根拠を示せ」と言っていたのが印象的でした。
一般的に言った場合、果たして未来の目標に根拠はあるのでしょうか?
目標があるから、現状とのギャップが生じ、そのギャップを埋めるために何をするか?どうするか?が決まっていく。その何をする、どうする?がなるべく再現性を持つように工夫する。そのヒントとしてファクトがある。これならわかりますが、目標に根拠をというならば、人は、企業はどのように成長すればいいのでしょうか?
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ロジカルシンキングを越えて
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。