ハイパフォーマー育成のポイント、なぜ顧客からの評価が高いのか|service scientist's journal

画像: Przemek P

2018.06.04

経営・マネジメント

ハイパフォーマー育成のポイント、なぜ顧客からの評価が高いのか|service scientist's journal

松井 拓己
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト

ハイパフォーマーは、事業成長の要であり、今後のサービス事業のマネジメントを担う次世代幹部候補にもなるため、その育成は極めて重要な経営テーマだと言えます。そこで、ハイパフォーマーをサービスの本質論で分析をして、その育成の盲点や伸びしろを明確にします。

様々な業界で成長する事業には、“ハイパフォーマー”と呼ばれる人材がいることが、サービス改革を支援しているとよく分かります。いつも営業成績の良い営業マン、個人指名でリピーターや顧客紹介が集まるサービススタッフ。ハイパフォーマーに支えられているサービス事業が少なくありません。裏を返せば、ハイパフォーマーの頭数で、事業の規模が決まっていることが多々あります。ハイパフォーマーの育成は、事業の成長と直結しているのです。


“ハイパフォーマンスの秘訣”は本人も分からない

ハイパフォーマーは次世代のサービス経営幹部として期待されて、サービスのマネジメントを担うようになります。組織で成果を出す役割を担うと、すぐに壁にぶつかります。これまで経験知や直観を活かして成果を挙げてきたため、なぜ成果を出せたのかをうまく周囲に説明できないのです。「当たり前のことを当たり前にやるだけ」、「気づきが大事」、「お客様目線で考えろ」と、抽象的な言葉が並び始めます。ハイパフォーマーをマネジメントに据えるだけでは、次なるハイパフォーマーを育てられるとは限らないのです。


なぜハイパフォーマーは顧客からの評価が高いのか

ハイパフォーマーを分析してみると、業界や職種を越えて傾向があると分かりました。顧客のサービスに対する評価を分解すると、「成果」と「プロセス」に分解ことができます。ハイパフォーマーは、「成果」に対する評価もそれなりに高いのですが、「プロセス」に対する評価が抜群に高いと分かったのです。サービスのプロセスの評価を高められるような人材育成を組織的にテコ入れすることで、ハイパフォーマーの育成を加速することが可能になるのです。

しかし、サービスの人材育成はこれまで、サービスの「成果」の評価に重点が置かれていました。例えば、早く正確にサービス提供するための業務研修や専門技能研修といった具合です。一方で、サービスの「プロセス」の評価を高める人材育成は、「OJTで経験を積みなさい」と、個人や現場の経験とセンスに頼り切っていることが多いものです。

そこで、具体的にハイパフォーマーを育成するには、何を磨いたら良いのでしょうか。次回は、ハイパフォーマーがいったい何をしているのかを紐解くことで、サービス人材育成の盲点を明らかにします。

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松井 拓己

松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト

サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。           代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新

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