アメリカのスモール・ジャイアンツ(小さいのに偉大な会社)・コミュニティで「お父さん」と慕われるある経営者の話。小さなホットドッグ・スタンドから100人超を雇用するケータリング会社へ、ワンマン経営で会社を切り盛りしてきた経営者に衝撃を与え、会社を「生まれ変わらせた」ある出来事とは?
リーダーの英断が唯一無二の会社をつくる
トムさんは、その日、自分のエゴを脇において、「会社のために」重大な選択をしたのでした。その後、この会社は、会社の核となるコア・パーパスとコア・バリューを定め(これを決定する会議には会社の全部署から代表者が出席したのですが、その席上で、トムさんは「オブザーバー(観察役)」に徹することを若者たちに約束させられたそうです)、それらを基盤に、個々の社員が自分で考え、判断し、行動する企業文化を築いてきました。
その結果、トムさんの会社は、イリノイ州やシカゴ地域の「最も働きたい会社」として表彰されるばかりではなく、平均離職率が50%以上といわれるケータリング業界においてわずか2%という驚異的な離職率の低さを維持しているのです。従業員エンゲージメント率も98%という奇跡的な高さ。全米心理学協会からは、「全米で心理的に最も健全な職場」として何度も表彰を受けています。
「良い会社」をつくるにあたって、「何をやるか」はもちろん重要ですが、それより何より、まずはじめに、「経営者の覚悟」がいかに重要かということを、トムさんのストーリーは物語っているといえます。「会社を変える」ことについて、まず、経営者が覚悟を決め、固い意志と情熱を持ち続けること、そしてそれを全社員に態度で示し続けること。それで勝負は決まったようなものだといっても過言ではありません。
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企業文化
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ダイナ・サーチ、インク 代表
ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。