経営戦略構文100選(仮)/構文21:理念・ビジョンと戦略の関係

画像: ぱくたそ

2018.02.14

経営・マネジメント

経営戦略構文100選(仮)/構文21:理念・ビジョンと戦略の関係

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

経営戦略の基本的な内容を解説していく内容です。構文という意味はバラバラに読んでもそれなりに意味がわかって読める、定型化されているということですが、読み物としてもそれなりに読めることを目指します。

だから、「指数関数的成長を前提として組織をスケールさせる新たな方法」が必要になる。そういうことです。この時、MTPが大きな意味を持つのですが、それは最後に解説します。

そして、「競合他社と比べて非常に大きい価値や影響を生み出せる企業」というのは、具体例として信じられない実績、成長を短期間で実現した企業が例示されています。

具体的な企業とその実績としては、クアーキーは新製品開発のリードタイムを通常の250日~300日から29日に縮め、ローカルモーターズは従来30億ドルかかった新しい自動車のローンチを300万ドルで達成、Airbnbの従業員数は1324人で4万5000人の従業員を抱えるハイアットより高い100億ドルの評価額を得ている、といったことです。

では、こんなにすごい飛躍型企業にいわゆる理念・ビジョンの一種であるように見えるMTPがどのようにかかわっているのでしょうか?

イスマイルの主張を要約すると「飛躍型企業は、大きな目標を持ち、目標達成のためにはビジネスモデルを常に変革させていく必要があるので、当初から野心的で大きな変革目標を保持し、エコ・システムの形成に際しても、共同作業のコストを低減させることができる」といったところです。

つまりね、大きな野心的目標、MTPの効果として、常なるビジネスモデル変革の肯定と共同作業のコスト低減があると言っているのです。これは画期的です。ビジネスモデル変革は、ドメインに理念・ビジョンが影響を与えるといった伝統的な話に近いように見えますが、共同作業のコスト低減にMTPが効くと言っているのは新しい。

では、MTPはどのようにビジネスモデル変革と共同作業のコスト削減に効くのか?

まず、ビジネスモデル変革について見ていきましょう。

MTPは野心的な変革目標です。つまり途方もなく大きな実現目標です。TEDでは「価値あるアイデアを広める」であり、Googleでは「世界中の情報を整理する」です。月面無人探査コンテスト「Google lunar X prize」で有名なXプライズ財団では「人類にとって有益な飛躍的技術革新を実現する」であり、シンギュラリティ大学では「10億人の人々によい影響を与える」です。

目標としては大きいです。野心的です。イスマイルの言葉で言うと「小さく考えていては、急速に成長する戦略など作れない」からです。そして、「成長によって従来のビジネスモデルが使い物にならなくなるため、何もしなければあっという間に路頭に迷う」そうです。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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