経営戦略の基本的な内容を解説していく内容です。構文という意味はバラバラに読んでもそれなりに意味がわかって読める、定型化されているということですが、読み物としてもそれなりに読めることを目指します。
アバウトには上記のように「飛躍型企業にはMTPが必要だ」というような話であり、これは「成長企業に理念・ビジョンが必要だ」という人々がこれまで主張したくてもなかなかできなかった話で本当であればハッピーなことなのですが、もう少し詳しく見ていこうと思います。
イスマイルのいう飛躍型企業の定義の「加速度的に進化する技術に基づく」というところですが、これはムーアの法則やレイ・カーツワイルの言うLOARを引き合いに出して技術の加速度的成長を言っておりますので、いわゆるデジタル化の話として捉えればいいと思います。
ちなみに「ムーアの法則」は大丈夫ですよね。18カ月ごとに集積回路上のトランジスタ数は2倍になる、でしたね。そこからコンピュータ性能が加速度的に上がっていく現象をイメージ的に形容しています。
LOARは一般にはあまり知られていませんが、カーツワイルがこのムーアの法則のような進化はあらゆる情報を基盤としたパラダイムにあてはまると主張した考え方です。「収穫加速の法則」というやつです。
そして、どんな分野でも情報化されれば、一定コスト当たりのパフォーマンスは上昇し、この倍増パターンは決して止まらず、その領域にはAI,ロボット、バイオテクノロジー、バイオインフォマティクス等が含まれるとイスマイルは主張しています。
次の「新しい組織運営の方法を駆使し」ですが、資源の希少性を前提とせず、豊富に資源がある前提で組織運営をすべきとのことです。
資源が希少であるのは戦略上は前提です。当然ですよね。だから、これまでの組織構造は資源の希少性を前提とした設計で所有を前提としています。所有権というもので希少な資源を保有することが競争優位の源泉になるわけです。独占レントもそういう概念です。
しかし、現在は豊富に資源がある。特に先進国にはある。だから、アクセスやシェアという概念が有効になるというロジックです。uberもairbnbも先進国に過剰にある設備を前提としたビジネスです。
つまり、資産活用効率を一定値まで上げれば既存の社会の資源から更なるキャッシュを生み出せる。そういうビジネスです。
すると、一旦、資源および使用したい人を情報的にマッチングさせる仕組みができてしまえばものすごい成長が初期には期待できる。
ただ、これまで、組織はそういうふうに成長することはなかったのでこういった飛躍的成長を遂げる組織にあったマネジメントノウハウはない。これまでのやり方では通用せず、組織が空中分解してしまったり、成長を阻害してしまう可能性がある。
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。