経営戦略の基本的な内容を解説していく内容です。構文という意味はバラバラに読んでもそれなりに意味がわかって読める、定型化されているということですが、読み物としてもそれなりに読めることを目指します。
また、D・J・コリス/S・モンゴメリーは完璧な組織体制による企業統治など不可能なのだから、コンテクストによる統治の要素がどうしても必要となることを指摘しています。そして、そのコンテクストは理念・ビジョンに端を発するとも考えられるわけです。
ただ、いわゆる経営戦略の大御所な方々、ポーターやミンツバーグなどからは理念・ビジョンは非常に評判が悪いです。彼らは理念・ビジョンはペダンティックだとも言いますし、積極的に理念・ビジョンを評価するバーニーにしても、それが本当に経営戦略を正しく方向づけるのか?と疑問を呈しています。
そして、ジム・コリンズも言うように理念・ビジョンがなく、プロフィットだけを目的とする会社でも業績がそれなりにいい会社は多数存在しています。だから、流行っているから当社も理念・ビジョンを作ろうと思うのならば、あまりお勧めはできません。
しかし、成長軌道にある程度乗った会社で、社会的な責任をしっかり果たして行きたいと言いたいと思うのならば、それが経営戦略に及ぼす影響も踏まえた上で作ってみることも選択肢としてあると思うのです。
何より、組織のメンバーがビジョンに対して納得感を持った時のモチベーションというものは確かにすごいものがありますからね。
なんとも歯切れの悪い話が続きましたが、とても歯切れのいい話が最近出てきました。主張しているのはサリム・イスマイルです。
イスマイルは「飛躍型企業」というものがあるとし、その飛躍型企業では理念・ビジョン的な概念としてのMTPが非常に重要な役割を果たすとしています。
飛躍型企業とはイスマイルの言葉を純粋に引けば「加速度的に進化する技術に基づく新しい組織運営の方法を駆使し、競合他社と比べて非常に大きい(少なくとも10倍以上の)価値や影響を生み出せる企業」だそうです。
そして、MTPとは何か?ですが、いわゆる理念・ビジョン的なものに私には見えます。
MTPとはマッシブトランスフォーマティブパーパス。野心的変革目標です。いわゆる一般的に言うミッションとは野心的であることが違うと当人たちは主張しています。しかし、社会をどう変えたいのか?という話という意味では、理念・ビジョン・ミッションとさして変わらないように見えます・・・。
念を押しますが、この文章では「理念・ビジョン・ミッションの区分けこそが大事なんだ!」といった主張にはくみしません。これらは似たようなものであり、これらが一体的に指し示すことこそ大事だという立場をとります。要は我々は誰で何がしたいか?どんな状況/世界を作りたいか?です。
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経営戦略構文100選(仮)
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。