/お盆は、もとは儒教の、死んだ先祖の罪業の宥しを請う「中元」の行事。インドの輪廻の死生観を持ち合わせていなかった中国や日本の葬式仏教が、この中元信仰に飛びついた。しかし、儒教も仏教も無く、死者を思い、自分の人生の来し方行く末を考えるのに、夏半ばのお盆は大きな意味がある。/
一年の半ば。その年の前半に、勢い余っていろいろなことがあったとしても、それはそれ。なにもそんなあれこれを年の後半にまで引きずって、その後始末のために、残り半年しかない時間を費やすのは、ばかばかしい。それは、人生も同じ。先人の終わった一生を前に、人々から生前のいろいろな話を伺いつつ、自分もまた一生の半ばを過ぎてしまったことを思い、残り少ない人生になにができるか、なにをやり残しているのか、神妙に考える。儒教も仏教もなく、夏のさなか、お盆の本当の意味は、そんなところにあるんじゃないだろうか。
(大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門は哲学、メディア文化論。)
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大阪芸術大学 哲学教授
美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。