経営戦略構文100選(仮)/構文15:ケイパビリティと機会認識

画像: ぱくたそ

2017.07.22

経営・マネジメント

経営戦略構文100選(仮)/構文15:ケイパビリティと機会認識

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

経営戦略の基本的な内容を解説していく内容です。構文という意味はバラバラに読んでもそれなりに意味がわかって読める、定型化されているということですが、読み物としてもそれなりに読めることを目指します。

製鉄所がプレス機を使って、野菜を美味しくプレスしてもいいわけです。高級フランス料理店などで、鉄工所でプレスされた野菜が使われていて、多角化ができているケースがありますが、それでいいのです。必ずしも、プレス機を使うプロセスが鉄鋼事業にとっての「強み」でなくても構わないですよね?

また、市場がどうも変化していて、その変化に対して自社のできること、業務プロセスで活かせる何かがあるのか?という視点で見た時に、このプロセスはこの変化に対して価値があると認識しても構わないのです。

だから、私が「これだけSWOT分析」というしょうもない本を書いていますが、市場の変化に着目しましょうね、と書いてあるのはそういうことなんですね・・・。

だから、SWOT分析をやるなら、自社のできることを見て、業務分析をしてケイパビリティを見て、それが活かせる外部環境はあるのか?と考えるのが効率的なわけです。

もしも、プロセスに希少性と模倣困難性があるならば、認識される機会は自社が独占できる可能性がありますからね。

また、SWOT分析のワークショップとか、合宿などがあったりすると思うのですが、そこで、「自社の強みがありません」とかおっしゃる方がいらっしゃるわけです。でもね、「自社の業務プロセス、できることを書いてみましょう」だったら、自社の業務プロセスがありません、自社のできることがありません、とはならないですよね。

業務を書いたうえで、プロセスに分けて、そのプロセスを設備や情報資産、人、スキルなどに分けて、それが活かせる外部環境を探せば機会を探したことになり、同時に強みが規定されることになるわけです。簡単ですよね・・・。、

もうちょっと今日は書きましょう。では、新しくまっさらな状態から事業をやるとして、どうやって機会認識をすればいいのか?

答えはどうとでもできるなのですが、それだと困りますよね。ここで大事になるのが、理念・ビジョンの設定です。理念・ビジョンを設定するということは、社会がどのようになって欲しい、社会のどのような課題に対してどのような答えを出す、ということを規定することです。

そうすると、それはつまり、当初の機会認識になるわけです。そこから、自社の業務を作っていくわけです。

社会の課題を何であると認識し、それに対してどのような価値を提供するか?が定まれば、その価値をどのように提供するか?の問題になり、業務が構築されます。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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