概念を起こす力・意味を与える力・観をつくる力を養う『コンセプチュアル思考』のウェブ講義シリーズ
例えば、時代のトレンドの先をいく広告や製品をつくる場合などを創造してみてください。
〈1〉まず、つくり手は、モヤモヤとした事象の中から何か本質を感じ取ろうとします。抽象化がここから始まります。
〈2〉そして、つくり手は、そのモヤモヤとした中からついに本質的なことをつかみます。そしてその本質をもとに事象に輪郭を与えて(定義をして)、全体をつかみます。
〈3〉さらにつくり手は、その事象を目に見える形(文章や意匠)に表現しますが、ある部分にエッジを立て、人びとの目や心に引っかかりやすくします。このエッジの立て方がいかに洗練され、独創的であっても、その事象の本質を含んでいなければ、単なる表層の加工というだけに終わり、すぐに人びとから忘れ去られてしまうでしょう。
◆思考は3つの領域を激しく往来する
思考は人間の複雑きわまりない運動です。本講義では、基盤的な思考能力として「知・情・意」の思考の3つをあげました。すなわち―――
知の思考=クリティカル/ロジカル思考
情の思考=デザイン/クリエイティブ思考
意の思考=コンセプチュアル思考
これら3つの思考は明確に分けられるものではありませんし、単独で機能するものでもありません。私たちは何か物事を考えるとき、この3つの思考の間をめまぐるしく行き来しながら、一つの考えとしてまとめていきます(ときに、まとまらないときもあります)。エッジを立てた表現を生み出すときもやはりこの3つの思考を複雑に往復します。
〈1〉事象を感じ取るときの思考というのは、知覚(perception)が主導になります。ですから、「情の思考」寄りになります。
〈2〉事象の本質をつかみ輪郭を与えるプロセスに入ってくると、ここは概念(conception)の領域ですから「意の思考」が主導役を果たします。
〈3〉エッジを立てて表現するプロセスでは、表現(expression)を本領とするデザイン思考、つまり「情の思考」が再び主導権を握ります。
〈1〉~〈3〉のうちトータルで見れば、当然「コンセプチュアル思考」が最も中軸の思考になりますが、その随所で、分析的・批判的に見つめる「知の思考」もからみ合ってきます(下図参照)。
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ビジネスパーソンのための新・思考リテラシー『コンセプチュアル思考』
2016.11.21
2016.12.15
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キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。