経営戦略の基本的な内容を解説していく内容です。構文という意味はバラバラに読んでもそれなりに意味がわかって読める、定型化されているということですが、読み物としてもそれなりに読めることを目指します。
だいぶ昔にボスコンが一世を風靡した「経験曲線」は大きな会社が勝つための戦略ですからね・・・。累積生産量の増加に対して、コスト低減効果がどの程度あるのかということが予測できるので、需要が見えるのならば、どのように投資して工場を増やしていけるのか?といった計画が立てられたわけです。大企業のコスト競争力には勝てない、というお話でした。
「大企業は普通にやったら強くて、小さい会社は普通にやったら弱い」がセオリーです。でもね、現在市場を支配している優良企業が負けるプロセスが、企業の合理的な選択の結果生まれる状況があることをクリステンセンは「イノベーションのジレンマ」で多少実証的に示しているわけです。
この本以降のクリステンセンは、けっこうアバウトな主張をしています。最近流行ってきたJTBDなども、「イノベーションへの解」や「イノベーションへの最終解」では、言葉の定義からけっこう適当な感じのお話ではあります。でもね、「イノベーションのジレンマ」は事例を豊富に多少実証的に説明がされています。そこが好感が持てるところですね。
JTBDもロジックとしては強力だと思いますが、今のフレームワークとパラダイムが完全に違うので理解は難しいし、説明する事例が「ミルクシェーク」等、汎用性が微妙なものが多いので、どうかと思っています。
ただ、イノベーションのジレンマはロジックががっちりしていて事例も豊富でとてもわかりやすい。その割に、日本の解説本ではまともな解説が少ない。ということで、多少まともに書いてみます。
当初、クリステンセンは破壊的イノベーションという言葉と破壊的技術という言葉をほとんど同じ意味で用いています。要は技術的なお話だったわけです。フロッピーディスクのような記憶媒体の業界、いわゆるディスクドライブ業界における技術革新と優良企業の没落、新規参入企業の急伸をケースで扱っていますからね。
技術革新で記憶媒体がどんどん小さくなる。小さくなると主流の規格が変わってしまって、それまでの主流だった媒体は消えゆく。5インチのフロッピーディスクにとっては3.5インチが破壊的イノベーションだったわけです。それまで市場を支配していた優良企業が破壊的技術、破壊的イノベーションによってやられてしまうのです。
クリステンセンはこのプロセスを6つのステップで説明しています。とてもわかりやすいので、その6つを説明していきましょう。
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経営戦略構文100選(仮)
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。