2016.08.02
愛犬・愛猫の長生きの秘訣とは…?「うちの子に嫌われないホームデンタルケア」~いきなり歯ブラシを使うことを避けるべき理由~
武田 真優子
つむぎペットケア 老犬介護スペシャリスト/もふもふ認定動物看護師
3歳以上のイヌ・ネコの80%以上が「歯周病予備軍」といわれています。この予防には歯磨きはじめ「ホームデンタルケア」が大切です。今日は、「なぜ、いきなり歯ブラシを使ってはいけないのか」について、お伝えします。
■あなたは、よくわからないものを、口に突っ込まれてみたいですか?
想像してみてください。
ある飼主さんが大切なうちの子を連れて、かかりつけの動物病院へゆきました。
獣医師 「今日はどうされましたか?」
飼主さん 「なんだかうちの子、口から臭いがするんです」
獣医師 「どれどれ…(口の中を覗く)ああ、歯石と歯垢がついてますね。まだ歯周病まではいっていないので、今日から歯磨きしてくださいね。歯石はとれないですが。歯ブラシ、購入されますか?」
あなた 「歯ブラシは嫌がるんです」
獣医師 「歯磨きシートなんてのもありますよ。」
あなた 「はい…じゃあやってみます」
これはフィクションですが、動物病院ではありがちな会話です。
歯磨き以前に、獣医師と飼主さんのコミュニケーション問題がいくつもありますが、ここでは割愛します。(こういうことは、少なくはありません。その間を取り持つのが、動物看護師の役目でもあります)
この飼主さんは、以前に歯ブラシを購入して、試してみているようですね。しかし、"うちの子”が嫌がるから、獣医師からお勧めされた歯磨きシートを使ってみることにしたようです。
しかい、おそらくこの飼主さんは、歯磨きシートをつかってのケアも難しいと思われます。なぜなら、ホームデンタルケアを行うための、よりよい順番ではないからです。
■"うちの子”の気持ちになってみましょう
突然ですが。あなたは今から、あなたのうちの子です。想像してみてくださいね。
いつものように、大好きな飼主さんに寄ってゆくと…あれ?なんだかいつもと雰囲気が違う。なんだろう…
ん?どうして口を持つの?
え?何ソレ?何その長いの?
どうして唇をめくるの?なに?え、なんか口にはいった!!!!!!!なにこれ、こわい、こわい、こわい!!!!!!!!!!(パニック)
いかがでしょうか。
わたしたちヒトは、小さな頃から歯ブラシを使って歯を磨くことを知っています。しかし、動物は歯磨きをする習慣そのものがありません。
特にイヌは習慣の動物です。新しいことを受け入れることは苦手です。いきなり歯ブラシを口に突っ込むということは、イヌもネコの立場になれば、怖がるのが当然なのです。
記者は、「歯ブラシをみると本気で噛みついてくる」、「口を触ろうとしただけで牙を剥く」イヌたちに出会いました。
「歯ブラシは怖くないものだよ」と、うちの子に知ってもらうことよりも、もっとずっと、小さなこと、小さなことからはじめることのが大事です。
歯を磨いたことがないイヌがに対して、飼主さんが歯ブラシをつかって歯を磨けるようになるまでは、3ヶ月かかることもあります。ほんの少しずつ、はじめてみてくださいね。
ご質問や疑問などがございましたら、まずはかかりつけの動物病院スタッフにご相談くださいませ。あなたの”うちの子”のことをよく知ってくださっていますので。
あなたと、あなたの”うちの子”がより長く、幸せに暮らせることを願っています。
「うちの子に嫌われないホームデンタルケア」の基本とコツ
武田 真優子
つむぎペットケア 老犬介護スペシャリスト/もふもふ認定動物看護師
ペットホスピスをつくるために地方移住予定/うさぎと暮らすペットヘルパー/認定動物看護師。老齢動物介護/グリーフケア/ペットマッサージ