概念を起こす力・意味を与える力・観をつくる力を養う『コンセプチュアル思考』のウェブ講義シリーズ
すなわち、3つの領域の思考リテラシー教育として次のように整理されます。
〇「知の思考」を鍛える→「ロジカル/クリティカル・シンキング」
〇「情の思考」を鍛える→「デザイン・シンキング」
〇「意の思考」を鍛える→「コンセプチュアル・シンキング」
「意の思考」でいう「意」とは、意志、意味、意義、意図、意見です。意は「念」に通じていて、概念、観念、信念、理念にかかわります。そして意や念は、英語の「コンセプト:concept」に通じます。「意の思考」にかかわる「コンセプチュアル・シンキング」の教育は、わかりやすく言うと次のようなことを目指します。
・根源を見つめ概念化する思考態度をつくる
・本質をつかみモデル化する力を鍛錬する
・独自のとらえ方=観をつくる。
そしてその観にもとづき意志のある仕事ができる
・深く豊かにものごとを咀嚼(そしゃく)する力を養う
・理念にもとづいた商品・サービスをつくる
そして大局観に立った事業のグランドデザインを描くことができる
・意味をつくり出す人をつくる
コンセプトというと、何か企画を起こすときの軸となる考え方を思い浮かべる方が多いかもしれません。それは狭い意味で、この語は本来、「つかむ・内に取り込む」という意味を持っています。私たちは感覚器官を通して物事からさまざまな刺激や情報を受け取り、意や念としてつかんでいきます。さらには経験として取り込んだものを綜合して、物事の奥にひそむ本質をみようとしたり、物事に意味を与えたりします。そうして観(=物事の見方)という心のレンズを醸成します。これらの認識活動をカバーする言葉が「コンセプチュアル」です。
◆“コンセプチュアルに考える”場面はあふれている
振り返ってみれば、私たちビジネスパーソンにとって、日ごろ「コンセプチュアルに考える」場面はたくさんあります。
〈一業務担当者〉として、
・製品のコンセプトをどうするか
・直面する状況の問題構造をいかにモデル化して説明するか、など。
また〈管理職者〉であれば、
・どうチームのビジョンを描くか、どう理念を打ち出しメンバーを牽引していくか
・リーダーとしてぶれない軸を持つためのその軸とは何か、など。
さらには年齢や立場がどうあろうと〈一職業人〉として、
・自分自身の職業人としての存在意義は何か
・働く動機は何か、など。
こうした問いに向かう思考は、「わかる」を目指すものではありません。「わかる」とは「分かる/解る」と書くように、物事を分解していって何か真理に当たることです。これは「ロジカル・シンキング」をはじめとする「知の思考」が担当する分野です。また「デザイン・シンキング」をはじめとする「情の思考」が得意とする「表現する」ことを目指すのとも違います。こうした問いを考えるときこそ「意の思考」の出番です。「コンセプチュアル・シンキング」は、答えを「起こす」ことを目指す思考だからです。すなわち、自分の内に概念を起こす、意味を起こす、観(=ものごとの見方・とらえ方)を起こすのです。
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ビジネスパーソンのための新・思考リテラシー『コンセプチュアル思考』
2016.02.05
2016.02.25
2016.03.06
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キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。