問題社員と思われている社員の中には、アスペルガー症候群の人も含まれているかもしれない。その症状がおよそ確認できてもどのように対応していいのか分からない企業もある。それまで問題社員として対応してきて、アスペルガー症候群の可能性があると気づいた瞬間、人事も、彼らのそれまでの謎めいた言動が分かり、謎から解放されることになる。しかし、本当の解決策にはまだまだいたらない現実がある。
それを聞きつつ、まさかとは思いつつ、課長に確認の質問をしてみました。
「彼は、コミュニケーションを取るのが、とても苦手だと感じますか?」
「自分で自ら考えて行動することが苦手のようですか?」
「1人で過ごしていませんか?」
「進捗を聞いたとき、どうでもいいような報告から始まっていませんか?」
「いわゆる、空気が読めないタイプですか?」
「チームプレイに苦手意識をもっていると感じますか?」
簡単な質問をしてみると、すべてにあてはまってしまった。
そこで、「彼には、アスペルガー症候群の症状があるようですが、専門医の診断が必要ですね。」と申し上げました。「アスペルガー?」
アスペルガー症候群の特徴を整理してみると、
- 社会的環境に溶け込めないので、グループの中に入るのが嫌い
- コミュニケーションを上手く取れないので、一方的に喋ったり、聞かれたことしか答えない傾向にある
- 非常に細かなところにこだわりや思い込みが強い
- 人の言葉をそのまま信じて、その時の状況や発言の意図が判断ができない
- 外見からは障害の有無は判断できない
- 会話をしていても目の動きがあまりない
- 顔の表情にあまり変化がない
- 相手の表情があまり分からない(職場の空気が読めない)
- 本人がよく知っている分野は博士級だが、そうでない分野はゼロ
- 的外れな質問をすることが多い
- 言葉の選び方、敬語などの使い方がおかしい
- 自分では、感情のコントロールが下手
- 話す時、予め要点を整理してとか、簡潔に話すことが出来ない
- 自分の気持ちや意見を的確に伝えることができない
- しぐさや話し方で時々違和感がある
- 一度に、複数のことを処理するとどれもできなくなる
- 曖昧な指示を出すと何もできなくなる
- 経験による学習が苦手
- 冗談が通じない
- アフターファイブの飲み会、親睦会、打ち上げ会には参加したくない
- 人間関係を改善しようとすることができない
- 非常に高い集中力がある
- こまかな作業が得意
- 予めスケジュール化された、ルーチンワークが得意
これらが顕著に確認できたら、アスペルガー症候群の障害者の可能性があると思ってもいいでしょう。
人事部長への説明
「〇〇さんは、どうもアスペルガー症候群の患者に見られる言動が確認できます。これまでの、課長とのコミュニケーションを詳細に聞かせていただいて、その可能性は半分以上の確率であるかと思います。」と説明すると、「アスペルガー?」と言われました。「何ですか!それ!」と言うことで、説明をした。
10冊程度の本を購入し、あっと言う間に全部を読んだ様子。
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提供会社: | 戦略人財コンサルタント |
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対象: | 製造、医療機器・医薬品、IT、金融、小売・卸業の日本企業、外資企業 |
時期・期間: | いつでも受付ております。 |
地域: | 日本国内全域、海外(北米、アジア、ヨーロッパ)に対応しています。 |
実績数: | 人事部門の変革支援は、52社(2015.12時点) |
費用: | 見積をご依頼ください(大手コンサルティング企業の半額程度です) |
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2009.02.10
2015.01.26
戦略人財コンサルタント 代表
人事の役割は、グローバルでは2005年あたりから大きなパラダイムシフトが始まりました。それは、社員の自己実現を達成させる仕組み、制度、支援を人事が行うことです。社員が安心して会社で最大のパフォーマンスを発揮し、それが経営目標の達成、さらには事業発展に貢献できる仕組みを人事が担当する時代になったのです。 人事機能を運用管理するだけの役割は、グローバルの優良企業にはもはや1社もありません。 このような人事の役割の変化と事業の発展は等しく関係しています。日本企業の真のグローバル化、世界で戦う人材のマネジメントを行う人事部門の再構築の支援をさせて戴いております。