昨年104歳で亡くなられたまど・みちお氏の代表作「ぞうさん」には、意外な深い思いがありました。
今日、11月16日は「ぞうさんの日」です。
日本で生まれ育った人であれば誰もが知っている童謡「ぞうさん」の作詞家まど・みちお氏の故郷、山口県周南市の市民プロジェクト「絵本と物語のある街」が制定しました。このプロジェクトでは、まちづくりのひとつとして絵本コンテストなども行っているそうです。
「ぞうさん ぞうさん おはながながいのね そうよ かあさんも ながいのよ」
たったこれだけの歌が多くの人の心に残るのは、なぜでしょうか。動物園を訪れた仲良しの親子が、仲良しのゾウの親子を見て、たのしそうに話をしている。そんなのどかで平和な風景を歌ったのだと思っていましたが、意外にもこれは悪口の歌だったそうです。
『歌というのはどんな風に考えて歌ってもらってもいいんだけれども、自分としては、この歌はこういうふうに思われたがっているという考えはある。それは、子供のゾウが「おまえ、鼻が長いじゃないか」と悪口を言われた歌なんだ。それで、言われた方のゾウさんが「そうだよ」と胸を張って、鼻の長さを誇りにしている歌だ。』(河出書房文藝別冊まど・みちおより一部抜粋)
阪田寛夫氏がまど・みちお氏ご本人から聞いたという解説なのですが、この歌の持つ奥深さに驚かされます。童謡というものは、幼い心にまっすぐに届き、無邪気に受け取られ、歌い継がれます。そこにある深い意味なんて、気が付いても、気が付かなくても、なぜかいつまでも覚えている。大人になってから、自分の子どもが歌っているのを聞いて、ふと、そうだったのかと気が付く。そういうものなのかもしれません。
まど・みちお氏は昨年2月に104歳で亡くなりましたが、「ぞうさん」も「やぎさんゆうびん」も「一ねんせいになったら」も、子どもたちに愛されて、これからも歌い継がれていくことでしょう。
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