新そばのシーズンがはじまります。粋に江戸前のそば文化を楽しんでみられてはいかがでしょうか。
今日、10月8日は「そばの日」です。
美味しいそばをもっと多くの人に味わってもらうことを目的とし、東京都麺類生活衛生同業組合が制定しました。新そばの時季を迎えるのが10月であり、10=十は「そ」、8=八は「ば」と読めることから10月8日だそうです。ちなみに毎月末を「そばの日」としている別団体もあります。
そばは鎌倉時代から主食となった食品ですが、長い間、米の代用品、飢饉のときに仕方なく食べるあまりおいしいものではない位置づけのものでした。
ながらく「そばがき」というそば粉をお湯で練って生醤油で味を付けるものが主流であり、殻をむいた実をそのまま煮て「ぞうすい」や「おかゆ」にしたり、そばがきを具だくさんの鍋で煮る「つみれ」や「すいとん」のような食べ方をしていました。小麦粉と違って粘り気の少ないそば粉を細長い麺の形にするのは、なかなかむずかしかったようです。
今の細長い「そば切り」が庶民のなじみの食べ物になったのは、平和が続き、白米が豊富に出回るようになった江戸半ば、安永年間の頃です。その頃そばは、主食ではなく「趣味食」として楽しむものでした。
無類のそば好きで知られた江戸漫画家・杉浦日向子氏の著書「大江戸美味草紙」によれば、そばは「タバコやコーヒーなどと同じ嗜好品の扱いで、都市のリフレッシュ・タイムの、おしゃれな小道具として機能し、蕎麦屋は大人の止まり木、ロンドンのパブの役割をしたのだった。」とのことです。
人口100万都市江戸に4000軒のそば屋があり、そのほかに、かつぎのそば屋台が無数にあったということなので、江戸の人々がいかにそばを愛していたかがしのばれます。ちなみに現在、タウンページに掲載されている東京のそば屋(そばをメニューにしている飲食店)は3200軒しかないそうです。人口は1300万人を超えていますから、ずいぶん少ないですね。
せっかくのそばの日。今日は「趣味食」そばを、粋に楽しんで見られてはいかがでしょうか。今日は何の日
2015.10.02
2015.10.05
2015.10.06
2015.10.07
2015.10.08
2015.10.09
2015.10.13
2015.10.14
2015.10.15