/子供を卒業するジャンニは、最後のクリスマスプレゼントの願いを探しに旅に出た。だが、どこにも理想の国などなかった。/
ジャンニは目を覚ました。懐かしい自分の部屋だ。だが、なにかが違う。暗い中、鏡を見る。顔一面の白い髭。伸びたままの白い髪。彼は、もう老いていた。旅が長すぎたのか。窓の外を見る。もらったばかりのプレゼントを持った子供たちが走り回っている。クリスマスの朝のようだ。結局、なにをサンタクロースに願うのか決められないまま、自分は最後のクリスマスを終えてしまった、とジャンニは後悔した。
しかし、机の上にはプレゼントの箱があった。リボンにカードが挟まっている。きみの返事が無かったので、私がきみに贈りたいと願っていたものを受け取ってくれ、と書かれていた。中を開ける。赤いサンタクロースの服。キャンドルとマッチ。ジャンニは、思った。来年からは、自分が子供たちのサンタクロースになろう、ここに、もっと素敵なクリスマスの国を作ろう、と。
by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka 純丘曜彰教授博士
(大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門は哲学、メディア文化論。
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大阪芸術大学 哲学教授
美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。