教育再生実行会議において、高大接続や、大学入試改革の話が中心になりつつあるようです。 これからの時代を生きる生徒に「大学入試」の段階で何を問うことで、適切な選抜が可能になるのでしょうか?
※本記事は、(株)Z会勤務の筆者の個人的な見解です。
2013年10月11日、衝撃的なタイトルを元にした話題が、ネット上を駆け巡りました。
国公立大入試:2次の学力試験廃止 人物評価重視に(毎日jp)
Yahoo!トピックスにも掲載されたため、ツイッターやFacebookでまたたく間に伝播したようです。
「2次試験廃止」について、まず“正確なところ”をご紹介した方がよいかもしれません。これは正直、やや誇張した表現で、下村文科大臣は、同日の会見で「廃止と言うわけではない」と明言されています。
冒頭の毎日新聞のニュースは、先の2013年9月18日に行われた第12回教育再生実行会議の配布資料1を解釈し、10月11日に行われた第13回の会議に先んじて注目を集めるようにリリースした、と見るのが適切な気がします。
また、「人物評価重視」についても、配布資料1には、それらしい表現が「意欲・適性等を多面的・総合的に評価・判定する選抜に転換。面接(プレゼンテーション、集団討論等)、論文、高校の推薦書、多様な活動・資格を評価。」とあるだけですので、「評価を多面的にする」という方向性だけ示され、「人物評価重視」と過度に解釈しないほうが適切な気がします。
そこで、「2次試験廃止」というタイトルの元になったと思われる、配布資料1における大学入試について言及している箇所を見ると、下記の部分ではないかと思います。
「現状は、知識偏重の1点刻みのテストにより、
・アドミッションポリシーと大学入学者選抜において求めている能力とのギャップ
・大学入学者選抜に合格することが目的化し、高校段階で主体的に学習に取り組み生涯にわたって学ぶ基礎となる力や多様な体験活動の軽視
・学生集団としての多様性の確保が不十分等」
(以上、配布資料より引用)
この文章のポイントを絞ると、今の大学入試では、
A.知識偏重である
B.1点刻みである
C.アドミッションポリシーと(現状の)大学入試で判別できる能力にギャップがある
D.主体的に学習に取り組む力が高校段階でつかない
E.合格者の多様性が確保できない
という欠点がある。そして、その欠点を補うものとして「2次試験廃止」や「(人物評価重視としての)面接」などの手法が提示されている、という流れです。
ということは、課題の本質は「今の大学入試の良さをできる限り失わず、上記AからEの欠点をできる限り克服する」ここですよね。教育再生実行会議の狙いは。
すぐに手法論に目が行ってしまい、本質的な論点からそれることはママあるようですが、今回については、会議で配られた資料、つまり、事実そのものを見て、論を展開するのが筋です。そこで、AからEを克服するための方法論について、私見を述べたいと思います。
1.知識偏重型試験からの脱却
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