2012.04.09
教育にマーケティングを~センター試験のトラブルから考える(後
寺西 隆行
(株)Z会
2012年度のセンター試験は、様々な実施会場でトラブルが起きたため、先日、検証委員会が立ちあげられ、検証報告書が発表されました。 報告書から、トラブル防止策と、「教育とマーケティング」について、私見を。
※前編の続きです。
たとえば試験の監督要領。
複数の大学の関係者からいろいろ伺っている話や、このようなツイートがあることを鑑みると、とても分厚い冊子のようです。
“監督要領というアウトプットで出来るマネジメント”とは、要領の中で重要度の優先順位をしっかり決め、「見落とされがちで、かつ、見落とされると、重大なトラブルになるところ」を強調することですよね(言うまでもないことですが)。
そして、大学入試センター側から大学側に、そのポイントは試験監督者に確実に伝えるよう要請しておくこと。「要請」の方法も、「命令口調」だけではなく、伝え方・見せ方やタイミングをはかって、大学側が「あ、そのポイントを監督者に伝えないと、大変なトラブルになるな…」というリスクを認識するようなやり方を複合的に用いる、それが「マネジメント」です。
しかし…
「地理歴史、公民」の問題冊子配付ミスの再発防止に向け、良い対策案として大学側が掲げたものが、「監督要領の記述内容の見直し」でした(63%)。「入試担当者連絡協議会や監督者説明会において周知徹底を図る」の56%を上回っています。
また検証報告書、「トラブルの再発防止に向けて」の項に「監督要領の改善」という提言があります。
全文引用します。
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平成 24 年度の監督要領は、前年度に比べて、指示内容等の分量が増えており、時間繰下げが多発した理由の一つはそこにある。また「地理歴史、公民」及び「理科」については、受験方法、実施方法の変更にともなって新しい用語、表記が増えており、一部の監督者はそれらを十分に理解しないまま、監督業務にあたったことも否定できない。問題冊子の配付時に参照する問題冊子等配付確認表も、その表記が必ずしも適切でなかったとの指摘もある。このため、当日の説明に要する時間を短縮する観点から、監督要領のスリム化を行うとともに、表現は経験のない監督者にも理解できるような平易で明確な記述にすることが求められる。また、監督者の理解を助けるとともに、監督要領への記載内容の精選に資するよう、例えば、監督者向けの簡明なリーフレット及び説明DVD の作成、問題冊子表紙への注意事項の記載(チェックリスト付)、情報のWeb 配信等の工夫も検討されるべきである。
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これらを見る限り、監督要領を通じマネジメントをしようとする「業務」が行われていたとは言い難く、監督要領をつくる、という「作業」になっていた可能性が高いと感じますね…
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