顧客満足向上(CS向上)やサービス向上に苦戦されている方が多いようです。そこで重要にも関わらず見落とされてしまいがちなポイントを、サービスサイエンスの視点も交えて捉えていきたいと思います。今回はその2回目。「顧客満足度調査はどうしたら成果に繋げられるのか?」について取り上げます。
■「顧客」も平均してしまっていないか?
顧客満足度調査に答えて頂いたお客様を「お客様」ということばで十把一絡げにしてまとめて分析してしまっているケースが非常に多いのですが、本当にそれで良いのでしょうか?
・初めての利用で不安を感じているお客様と、何度もリピートしていてサービスに慣れているお客様。
・急いでいて迅速に対応してほしいお客様と、時間に余裕があるのでじっくり相談したいお客様。
・できるだけ安価が良いお客様と、納得できれば高価でも良いお客様。
このように、少し考えただけでも様々なお客様がいらっしゃいます。このお客様を全て「顧客」の一言でまとめてしまって「顧客満足度」として分析してしまうと、価値ある情報が埋もれてしまう危険性が非常に高いのです。
例えば、じっくり相談したくて利用したお客様には大満足頂けているが、迅速な対応をしてほしくて利用したお客様はやや満足にチェックをするケースが多いということが分かったとします。するとここから、顧客対応では「丁寧な説明・追加の提案」を重視するあまり、忙しいからササッと済ませたいというお客様からすると「いろいろ提案してくれてるのは嬉しいけど、余計なお世話です」という状況になっているのではないか?と気付けたりします。
そこですべきことは、「この点数を付けたのは、どんなお客様なのか?」についても捉えることです。「どんな事前期待を持ったお客様なのか?」という情報が分かるような調査の仕方、分析の仕方をすることが価値がありそうです。お客様の事前期待が掴めれば、明日からどんな努力をすべきかについて、極めて明快な議論ができると思います。
■これからの顧客満足度調査の活用方法とは。
これまでの顧客満足度調査は、「平均化」が価値ある気付きに目隠しをしてしまっていた可能性がありそうです。特に、「満足度」と「顧客」については平均化せず、
・リピートオーダーを得るためには大満足あるのみ
・やや満足と答えたお客様は誰か?(どんな事前期待を持っているお客様か?)
・やや満足と答えたお客様に大満足頂くためには何をすべきか?
といった、サービスサイエンス的な視点で、調査し、分析し、活用することが極めて効果的だと思います。
やはりサービスの本質は「お客様の事前期待」にあります。これまでにご紹介してきた過去の記事からも、サービスの定義からも、顧客満足の定義からも、「お客様の事前期待を掴まないとサービスは提供できない、顧客満足は得られない」ということが明らかになりました。
サービスサイエンス・CS向上・サービス改革・品質向上
2013.11.27
2013.10.22
2013.06.26
2014.07.02
2014.05.29
2014.03.25
2014.02.22
2014.02.11
2013.02.13
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新