製造業を含む全ての産業でサービスの重要性が高まっている昨今、サービス強化をどういう視点で行ったらよいか苦悩されている方が多いようです。そこで今回は、サービス強化のヒントを得るためのごく簡単なチェックの視点をご紹介したいと思います。
さらにこれら21種類を分類していくと、次の3つの基本サービスメニューに集約されます。
1.モノ提供サービス
モノを提供する事に価値の源泉があるサービス業で、先ほどの21種類の基本サービスメニューの中では「作ったモノを提供する」「食事や飲み物を提供する」「モノを貸し出す」など、5種類が該当します。
2.情報提供サービス
情報提供が中心のサービス業で、「価値ある情報を提供する」「いろいろなことを相談する」「代わりに設計する」など、5種類の基本サービスメニューが分類されています。
3.快適提供サービス
ここには「所有物を修理する」「移動を支援する」「娯楽を提供する」「能力向上を支援する」など11種類の基本サービスメニューが、中分類として「安心提供」「楽(らく・たのしさ)提供」「自己実現」の3つに分類されて所属しています。
さてそれでは、これら3つの基本サービスメニューの大分類から見えてくるサービス強化のヒントについてみていきたいと思います。
■基本サービスメニューの3分類を重ねてみるとサービス強化のヒントが見えてくる
先程の「モノ提供サービス」「情報提供サービス」「快適提供サービス」の3分類で、改めてサービス要素を見直してみようと思います。ここでは、製造業での活用もイメージしやすいように「農業」を例に考えてみたいと思います。
まず、一般的な農家は作った野菜を農協に納めて収入を得ていますよね。これは、先程の基本サービスメニュー3分類で言うところの、野菜という「モノ提供サービス」と考えることができます。
続いて、都会近郊の農家では、例えば秋口に旅行会社とタイアップして芋掘りツアーを企画していたりします。これは、芋という「モノ提供サービス」に、芋堀りという「快適提供サービス(楽しさ提供)」という要素が加わったサービスだと言えます。
そして最近流行りの、無農薬有機野菜が季節ごとに産地から直接自宅に段ボールで送られてくる季節の野菜便。これは、野菜という「モノ提供サービス」に、無農薬からくる安心・安全や有機野菜のおいしさ、楽しみに待つワクワク感といった「快適提供サービス」の要素が加わっています。そして更には、届いた段ボールを開けてみると、農家の方の顔写真付きのお手紙や、初めて見るような野菜を美味しく食べるためのレシピなどが入っていて、「情報提供サービス」の要素も含まれていることが分かります。このように、季節の野菜便は「モノ提供サービス」「情報提供サービス」「快適提供サービス」の3つの要素をバランスよく取り入れることで、付加価値の高いサービスを提供していると言えます。あるデータでは、大根1本当たりの農家の収入が、野菜を農協に納める場合と季節の野菜便とで約10倍異なるとも言われています。
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松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新