「交渉」と聞くと、荒野のガンマンよろしく1対1で向き合って丁々発止と言葉の対決をするというイメージが浮かぶかもしれませんが、実際のところは「交渉の三役割」を別々の人が分担できるように、チームを組んだ方がうまくいくものです。 本稿では、交渉に必要な三つの役割を解説した上で、とはいえ一人で臨まなければならない場合に、交渉ごとを上手に進めるための「愛犬の法則」を紹介します。
このような理屈が分かっている交渉者は、当然の事ながら自分の真のニーズを交渉相手には明かしません。そこで出てくるのが、「記録」の重要性。相手の様々な発言から、そして、自分たちが突きつけた交渉条件に対する相手の反応から、「真のニーズは○○ではないか」、という仮説を立てることにより、交渉を優位に進めていくことができるのです。
分かれた方が良い意思決定
交渉の三役割のもう一つは「意思決定」ですが、ひょっとしたらこれに違和感を感じる人がいるかもしれません。前面に立って交渉をする「応酬」機能を担う人が、意思決定もするんじゃないの?と。
もちろんそういう場合もありますが、この二つの機能は分けた方がベター。なぜならば、相手と応酬する中の短い時間の中でモノゴトを決めることには、いろんなワナが潜んでいるから。
●「武士に二言は」のワナ
自分が交渉の過程でポロッと言った責任を取るために不承不承同意せざるを得ない
●「売り言葉に買い言葉」のワナ
相手の挑発的な態度にのせられて感情的に「やってやるよ!」と啖呵を切ってしまう
●「赤信号みんなで渡れば」のワナ
もういい加減に交渉を終わらせようというその場の空気に流されてしまう
これを避けるためには、応酬する人とは別の人が冷静な視点から、しっかりとBATNAを見定めた上で、損得勘定で物事を決めていく方が交渉で成果を出せるのはいうまでもないでしょう。
したがって、大事な交渉になればなるほどこの三役割を別々の人物が担当し、チームとして交渉に当たることになります。実際、多くの人命に関わるほど難しい交渉はチームとして取り組むのは、「NYPD No.1ネゴシエーター最強の交渉術」にイキイキと描写されています。ちなみに、「NYPD」は「ニューヨーク市警察(New York Police Department)」で、犯人やテロリストとの交渉などがリアルに描かれています。
応酬と意思決定を分ける「愛犬の法則」
ただ、私たち多くのビジネスパーソンは、チームで交渉に臨むという「贅沢」はなかなか許されないかもしれません。リストラでただでさえ人手が足りないし、あるいは上司との面談でこの評価には納得できないなんて言う時には、同僚を誘ってチームを組むわけにもいきません。
そんな時にお役に立つ、応酬と意思決定を分けるためのテクニックがあって、それが、「金持ち父さんの愛犬の法則」。ロバート・キヨサキ氏がベストセラーシリーズ「金持ち父さん」で披露したそのやり方を見てみましょう。
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