人前で話すワザって、どうしても属人化しちゃいますよね? つまり、「あの人は上手い」、「あの人は今イチ」と、その人固有のモノというイメージ。とくに、「教える」となると、全人格的な行為であると捉えられるだけに、属人化するのはある意味しかたのないところ…と、言ってもいられないのが塾業界。クオリティの維持のための新たな取り組みとは?
塾業界では、地元を相手にした小規模なところならいざ知らず、大手となれば、大量に・同じクオリティの授業を・全国で、展開するのが勝ちパターンの一つになっています。つまりは、属人化した高いスキルを持つ「著名講師」を抱えるだけでは不十分で、ある程度の教えるワザを持った講師を大量生産する必要があるのです。
あるいは、フランチャイズ方式をとっているところならばなおさらクオリティコントロールは重要で、「ジー」の教え方があまりにヘタだと、ブランドイメージを毀損することになりかねません。
そんな中、面白い取り組みが「学習塾講師検定制度」。受講の講師として人前に立つ人の実力測定・能力開発のツールです。
全国学習塾協会が2008年に始めた制度で、これまでの合格者は2級・3級あわせて約290人。1級は2010年度から受験が始まるとのことです。
玉川大学の山口栄一教授もその作成に関わったとのことで、コンピテンシー・ディクショナリ的な記載になっています。
フレームワークには、なるほどなぁ、と納得で、
●授業の流れ
導入
展開(演習)
まとめ
●各段階で望まれる行動
学習を動機づけるための行動
学習内容を理解させるための行動
授業に集中(参加)させるための行動
というもの。
言われてみれば当たり前かもしれませんが、塾の講師に必要な行動を整理するという観点では、この2軸、9個(3×3)のフレームワークは分かりやすそうで、教える現場でも使えるのではないでしょうか。
一方、個々の要素はもうちょっと具体化してあげた方が、講師には役立つのではないかとも思います。
たとえば、
「身近な話題を結び付けることでストーリー仕立ての説明をし、
生徒の理解を促し、記憶に残るように話している」
と言われて、具体的なアクションに結びつく人はマレ。というか、これを言われただけで行動を改善できる人は、そもそもがこの検定を受ける必要はありませんね。
なので、「フツーの人」が講師としての良い行動を身につけるためには、検定の基準も「PARLの法則」ぐらいの具体性まで落とし込んであげた方が、効果が上がるはず。
あるいは、話のテンポやメリハリということが何回かでてきますが、大前提として「地上の星の法則」でベースペースを決めないというのはもったいない。まあ、「地上の星」でなくても良いんですが、300 wpm という客観基準を作らずに、検定でどう評価しているんだかちょっと不思議。
ともあれ、大きな方向性としては、ともすれば属人化しがちな、そして、定式化することが難しいと思われている講師のワザに評価基準を持ち込んだのは、大賛成。
子どもを塾に通わせている親御さんなら、塾の先生に聞いてみてもいいかもしれません。
「先生は塾講師検定、何級ですか?」って。
もちろん、その先生自体の教えるワザを計るという意味もありますが、会社としてどの程度クオリティ・コントロールに気を配っているかが読みとれるかもしれません。
ビジネスファシリテーター
2011.02.25
2011.02.04
2011.01.20
2011.01.21
2010.09.01
2010.08.09
2010.05.17
2010.04.02
2010.03.23