セミナーの「鬼門」、質疑応答を乗り切るテクニック

2010.04.02

組織・人材

セミナーの「鬼門」、質疑応答を乗り切るテクニック

木田 知廣
シンメトリー・ジャパン株式会社 代表

セミナーや説明会など、人前で話す時の質疑応答って難しいですよね? 知らないことを聞かれて「ウッ」とつまったり、けっこう困る「何を聞いているか分からない」人など、「鬼門」とも言える質疑応答を乗り切るテクニックとは…   -・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

上級編に行く前に、まずは質疑応答の基本を押さえちゃいましょう。

ARSA(アーサー)法と言いますが、

 Acknowledge (質問をしてくれたことにお礼)
 Repeat (相手の質問をオウム返しにくり返す)
 Spread (話を会場全体に振る)
 Answer (回答する)

と言う順序になります。

ポイントは「S」のところで、たとえ質問者は一人だとしても、参加者全員が同じ疑問を持っているとの前提で、会場に話を振ってから答えてあげると全体の満足度が高まります。

その際に頭の中に焼き付けるイメージはアーサー王と円卓の騎士(だからARSA法)。誰かから出た質問を12人いる騎士全体に答えるつもりで回答しましょう。

トークスクリプトにするとこんな感じ。

 A: 「ご質問、ありがとうございます」

 R: 「○○という内容を聞きたいと言うことですが…」

 S: 「皆さんはどう考えますか?」

 A: 「実はこの場合、私の観点からは△△がポイントになります」

「S」で話を振るところ、ぜひやってみてください…

というのは知っている人が多いと思いますが、さあ、ここからが上級編。ファシリテーターと呼ばれる人が上手に使っているのが実は「R」。Repeatで、相手の質問をくり返すところが大事なのです。

ここで実は、相手の質問を多少言い換えて(パラフレーズして)、自分が答えやすい方向に持っていっちゃうんです。

たとえば、先日のビジネス・ファシリテーター講座体験版でのやりとりを再現してみましょう。

 質問者:「いろんなテクニックは分かったんですが、結局
      慣れるためには『場数』を踏むしかないんですかね?」

これ実は難易度の高い質問。

というのは、ダイレクトに答えるとすれば、「場数を踏むしかありません」というものだから。

でも、それを言っちゃうと、「じゃあ、この3時間の勉強会ってなんだったの?」となってしまって、参加者の満足度はサゲサゲ(↓↓)。当然、学習効果も上がりません。

なので、こんな風に「逃げ」を打ちました。

 私:「ご質問ありがとうございます。『場数』の重要性に関して
    ですよね。もちろん場数は重要ですが、ただ、頭の中で
    シミュレーションするのも『場数』に含められるんです
    よね。

    皆さん、こんな経験ないですか?人間の脳は本当に
    あったことと頭の中の仮想の出来事の見分けがつかなく
    て…(後略)」

分かります?

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木田 知廣

木田 知廣

シンメトリー・ジャパン株式会社 代表

経営大学院立ち上げという類まれなる経験をした「人材育成のプロ」

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