プレゼンテーションで「言いたいことが伝わらない」ともどかしい時ってありますよね。とくに、相手が異なる部署や業界だったり、「常識」を共有していない時に起こりがち。これを乗り越えるのが「たとえ話の三原則」です。
筆者は仕事柄セミナーの講師をすることが良くありますが、以前は「言いたいことが伝わらない」という大きな悩みを抱えていました。
参加者の方々は、そもそもセミナーに来るという時点で、そのテーマに関する知識はないわけです。つまりは「常識」を共有できてないわけで、いくら言葉を尽くして丁寧に説明しても、「なるほど!」とは思ってくれないのです。
たとえば会計セミナーなんかで、
・決算書というのは、株主や銀行への報告のために使われるんですよ
・その中でも「損益計算書」は、過去1年間のお金の出入りをまとめたものです
・一方、「貸借対照表」は、ある時点での会社の財産一覧表です
という分かりやすい(つもりの)説明をしても、参加者が「ピンと来る」感じではありません。
これが、「たとえ話」を使うだけで、まったく変わってきました。
・決算書というのは、人間にたとえれば履歴書のようなものですよ
・その中でも「損益計算書」は、いわば職務経歴。過去1年間なにをやったかがまとめられています
・一方、「貸借対照表」は、顔写真。撮影日の時点で、どんな人なのか表しています
と言う説明だと、履歴書という誰でも知っている(既知の)情報と新たなインプットが結び付けられるからでしょう、「あぁ、そう言うことか!」と感じてもらえるようですね。
ただ、同じような「たとえ話」でも、キレが良いのと悪いのがあって、変なたとえ話を使ってかえってスベってしまったことも数知れず。会場が(シーン…?)となると、かなり焦るものです。
その違いはなにか?と考えてたどり着いた結論が、「たとえ話の三原則」。すなわち、
i) 整合性
ii) 関連性
iii) 多面性
があればあるほど、「なるほど!」の度合が大きくなるというもの。
「整合性」というのは、例えるものと例えられるものがマッチ(整合)していると言うこと。先ほどの例では、
・損益計算書も職務経歴は「1年間の活動の結果」という共通項で整合している
・貸借対照表と顔写真は「ある時点のスナップショット」という共通項で整合している
となりますね。
さて、次の「関連性」は、今度は聞き手の問題ですが、聞き手が知っているもの(関連しているもの)にたとえてあげることの重要性です。
先ほどの例で挙げた履歴書ならば、社会人なら誰でも書いたことがあるので、関連性は◎(マル)です。
もしこれを、
・決算書って野球のスコアブックみたいなもの
と言ってしまうと×(ペケ)。一部のコアなファン以外は、「え?スコアブックってどんなのだっけ?」とかえって混乱してしまいます。
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