私自身の経験から、この頃お客様にお勧めしている研修がある。それは「課長クラスに対しての人生企画書研修」である。
「管理職の年齢がどんどん上がり、人員構成がいびつになっている。ついては、役職に定年を設けて、報酬もそれに応じて下げる仕組みを考えたい」という役職定年制の相談を受けるのはごく当たり前の光景である。
そして、その頃に急に今後のことを考えるように突きつけるのでは酷だし、あらかじめその後の人生をよく考えてもらおうというので「キャリア研修」の企画の要請も少なくない。
先日もあるお客様とそのような相談をしていたのであるが、問題になっている年齢が「50歳」と「55歳」。
会話の中で何度も「50歳過ぎると能力の開発は期待できない」とか「55歳過ぎると次のポストに困る」などの言葉が連発で・・・何しろ54歳の自分としては、何とも居心地の悪い思いをする瞬間である(苦笑)。
さて、この「キャリア研修」であるが、いいような悪いような、実に、今風に言えば「微妙な」ものではある。
幸いにも、僕は40歳には独立をして、自分のキャリアは自分で考えるという立場になったために、「50歳を過ぎたら・・」「55歳を過ぎたら・・」などという扱いをされずに済んだのであるが、何とも気の毒なことではある。
ご相談を受けながら、そのような立場に自分がなったとしたらどう感じるものか?と考えるのであるが・・。
「会社がそのような機会を設けてくれてありがたい」と感じるか「人件費が上がるのが嫌だからと言って、今まで、会社のために尽くして人生を捧げて来た人たちに向かって、急に自分の人生は自分で考えろはないだろう」と感じるか・・・これは難しい。
どちらかと言えば後者の方の気持ちが強いかなあというので、このところ勧めているのが「課長クラスに対しての人生企画書研修」である。
これは僕が40歳で独立する時に「人生企画書」というものを作り、その企画書に基づいて毎年の取り組みを考え実行してきた経験に基づくものである。
38歳の時に「そろそろ独立」と考えた時に、これまでの人生を棚卸をして、これからの人生を見通した企画書を作って再出発しようと考えて作ったもので、「生まれてから40年間の人生の軌跡」「現在の、財産、人脈、身に着けた知識・技能」「再出発にあたっての人生の目的・目標」「自分の人生が終わる年月日」「人生の残日数」「リタイアするまでのマングローブの計画」「計画を実行するための自分を磨く計画」「家族の状況」などをバイオリズムの図と年表付きで書いた一枚企画書である。
これは自分に非常に大きな力を与えてくれているもので、その後の山あり谷ありの会社の状況、人生の軌跡を反映してリニューアルはされているが、大筋では企画書に沿って進み続けている。
邪魔になってから人生を考えさせるのではなく、働き盛りの時代から、毎年の目標管理で一年ずつの責任を問う形でマネジメントするだけではなく、自分自身の人生の中での会社、自分自身の人生の中での仕事というものをよくよく考えて、自分の意志で立てた計画に基づいて自分を磨き、役割を果たしていく力を生む仕組みが必要である。
今日の合言葉は「目標による管理」ではなく「人生企画書による自律性」の時代へ。
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今野 誠一
株式会社マングローブ 代表取締役社長
組織変革及びその担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。 設立以来15年、組織変革コンサルタント、ファシリテーターとしてこれまでに約600社の組織変革に携わっている。