一度辞めても、会社と本人の希望が合致すれば再入社が可能な会社、それがアシストである。 なぜ一度辞めていった社員にもう一度チャンスを与えるのか。創業者で現会長のビル・トッテンは、こう語る。
読書が好きだという伊奈は愛読書の一冊に『論語』をあげる。
「保守的な思想で、簡単にいうと『年長の人を敬って、仲間とは仲良く、下の人には親切に』といった内容です。昔からの日本人の価値観で、たまに読み返すと腑に落ちることが多く、また仕事でのお客様との付き合いにおいても、『論語』的な考え方は共感を得やすいと思います」
「論語」といえば、ビル・トッテンが絶賛するリーダーの必読書であり高度経済成長時代の日本の経営者はこの儒教にしたがって企業経営をしていたとして一読を薦めている。実際、トッテンが一度退職した社員の再入社を認めるのも、できるだけ社員には幸せで健康であってほしいという思いからだ。トッテンはこう語る。
「経営者の仕事は社員の健康と幸せを守ること。管理はしないが応援はするというスタンス。社員が他の会社で働くことでもっと幸せで健康になれる、というなら、そうするべきだし、ほかの会社で働いてみて、アシストで働いたほうがもっと健康で幸せになると思うなら、再入社をさせてあげればいいと思っている」
この思いを受け止めながら、伊奈は仕事と自分の幸せのバランスをとっている。
「アシストでは、仕事をする上で数字を達成することはもちろんですが、同時にお客様と仲良くなりたい、喜んでもらいたい、一緒に完成させたいといったモチベーション、やる気の基があります。そのモチベーションがコアコンピテンスで、数字しかなければ仕事をしていて楽しくないんです。とにかくこのお客様を言いくるめて、余計なものを買わせてもいいから1000円でも多く売ろう、では楽しくない。お客様がハッピーになる方法を考えようというのは、技術のときから言われてきました。支援1つとっても、やらない方が、お金にしない方がお客様がハッピーになるなら、そちらに話を持って行こう、というように。難しいですけどね。会社として利益を上げなければいけないのは確かですから。そこも考えつつ、お客様にどう喜んでもらうか。両方をどのように実現していくか。でもそういうところで悩んでいた方が、数字しかないよりも楽しい仕事になるんじゃないかなと思います」
誰かの役に立ち、その対価を受け取るという仕事の原点に還れば、人(お客様)を喜ばせたいという内面からの思いがモチベーションとなり、良循環をもたらす源泉になる。モチベーションが売上げや報酬など、外からしか与えられない状況で仕事をしたからこそ伊奈はここに気づいた。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
株式会社アシスト
2012.11.15
2012.10.31
2012.09.27
2012.09.11
2012.08.21
2012.08.07
2012.07.17
2015.07.31
2015.07.17