技術革新による機械化やコンピュータの導入は、生産性の向上や仕事の効率化をもたらしたが、それによって従業員の労働時間そのものが短縮されたという話はあまりきかない。統計によれば、日本人の労働時間はヨーロッパ諸国と比べると2~3割も長いという。
「この取り組みは私を入れて9名で実施しています。メンバーにこれをやれ、というのではなく、自分も一緒に始めたことは良かったと思います。「これをやれ」というのでは、反発があったかもしれませんし、またわがチームの仕事は技術職ですが、ソフトウェアの導入、サポート、教育、販促まで幅広く担当しています。基本的に一つの案件を複数人で担当しますし、複数案件も並行で実施するわけです。ですからやってみて、改めてタスクの共有の大切さを実感しています」
高橋の上司である村上は、この取り組みについてこう語る。
「高橋さんからこの取り組みを聞いたのは、始めてから3ヶ月くらい経ってからでした。BIツールを私に見せながら『いろんな観点で見ていくと、面白いもので結構いろいろな気づきがでてきます』と楽しそうに話してくれたのが印象に残っています。メンバー一人ひとりが自分だけでなく周りの人の時間の使い方を意識するようになり、更にチームのまとまりも良くなったと思います」
このシステムを始めて、どのくらい時間管理スキルはレベルアップしたのだろうか。
「実績についてもメールするのがルールだと言いましたが、そのデータを集計し、BIツールで分析できるようにしました。ですからミーティングの場でそのデータを使ってメンバーと会話し、気づきを与えることができたのが、一つの効果だと思います。ここで初めてメンバーが欲していた過去業務の棚卸しが実現できたなと感じました。また、これを実施する前は月80時間以上残業する人数が常に2、3名はいましたが、今は0です。そして以前は20時にはチームのほぼ全員が残っていましたが、今は2、3人程度になりました」
ではこの2、3人はどうなのか(なぜ帰れないのか)、というところだが、これはなかなか難しい、と高橋は言う。
「結局、より短い時間で今までと同じアウトプットを出す、というのは本当に難しいことなのだと思います。この点はこれからも試行錯誤しながら継続して悩んでいきたいです」。
アシストの中日本支社では高橋のチーム以外に2つのチームがこの「棚卸しシート活動」を取り入れてた。
「私たちの活動をみて取り入れてくれたのですが、うまくいったチームとそうでないチームがあったようです。たぶん、ですが、私のチームはみんなの意見で始まった活動だったというのが継続できたポイントなのかなと思います」
そして、最近になってこの活動が支社技術部全体の活動へと広がり、そのため高橋のチームが作ったルールで行っていた活動は一旦終了することになった。
「今後どのようなものになっていくか、今の段階ではまだわからないのですが、1年以上やってきて私なりに気づいた大事なことは、この活動はメンバーの自己管理力を促進させることであって、 チェック、コントロールをすることが目的ではないということです。実行に際して、これをメンバーに周知徹底してやることが大切です。そこを間違えると逆効果になってしまうと思います」
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