技術革新による機械化やコンピュータの導入は、生産性の向上や仕事の効率化をもたらしたが、それによって従業員の労働時間そのものが短縮されたという話はあまりきかない。統計によれば、日本人の労働時間はヨーロッパ諸国と比べると2~3割も長いという。
以前は、残業せざるを得ないのは、会社に対する忠誠心が重視されるとか、上司より先に帰りにくいといった理由を挙げる人も少なくなかったが、最近では企業側が、タイムマネジメントを重要課題として認識し、限られた時間でアウトプットを最大化する「効率的な働き方」を模索しているようだ。
コンピュータ・ソフトウェア製品の販売サポートを行うアシストでは、仕事を費やした時間ではなく、結果(実績)で評価するという基本的な考え方が社員に浸透している。働き方は社員個々の自己管理に任されており、残業は日常的なことだ。
「1 の仕事を17時までに仕上げる人もいれば、23時までかかって仕上げる人もいます。結果が1になればいいのですから。評価としては前者が良いのは当然ですが、私はセンスもない凡人なので、完全に後者、23時に帰る派で、家に帰ると次の日になっていることが普通という生活でした」
しかしそんな働き方を経て、その過程での試行錯誤や取り組みがあったからこそ今日の自分につながっている、とも高橋は思っている。そんな高橋は2010年に課長になった時、自分はさておいて、課のメンバーはどのように考えているのだろうと思ったのが始まりだったという。
「必要な残業はもちろんあります。毎日、夜遅くまで、ああじゃないこうじゃないと一緒に仕事をしてくれた仲間や先輩たちへの感謝も忘れたことはないです。ただ、思い出は綺麗な話になりがちですけど、本当はつらかったこともありました。そのため、メンバーたちはどうなんだろう、残業時間についてどう思っているのか、本当はどうしたいのだろうか。そう思って、ある日のチームミーティングで聞いてみたのです」。
案の定、大半の答えは「早く帰りたいのは帰りたいです。ただ、気づいたら、その時間になってしまって・・・」というものだった。また、「1日の終わりを定時で考えるということを、そもそもしていない」というのがほぼ全員だった。次に「ではどうしたらいいか」、と問いかけたところ、メンバーからの答えは「自分が何に時間がかかっているのか、棚卸ししてみたい」という答えがかえってきた。こうして棚卸しシート活動が始まった。
「この調査をする以前も、個人個人でTODO管理はしていましたが、そこにルールはありませんでした。頭の中で組み立てる人もいれば、付箋ソフト、紙に書きだす、Webスケジューラに一部だけ、などいろいろな人がいました。ちなみに私は頭の中で、という、残念なやり方でした。これではチーム内での共有も難しいのは明らかでした」
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