教育にマーケティングを~センター試験のトラブルから考える(後

2012.04.09

ライフ・ソーシャル

教育にマーケティングを~センター試験のトラブルから考える(後

寺西 隆行
(株)Z会

2012年度のセンター試験は、様々な実施会場でトラブルが起きたため、先日、検証委員会が立ちあげられ、検証報告書が発表されました。 報告書から、トラブル防止策と、「教育とマーケティング」について、私見を。

蛇足ですが、検証報告書で出された対策も、トラブルを無くすための「想像力」に欠いているような気がします。

メディアの見出しになった「地歴公民の冊子合冊化」という対策法ですが…この対策法を見たとき、僕は、「最初からそうしたかったのに、そうしなかった理由がどこかにあるのでは?」と感じました。
今回の試験時間の配置では、どう考えても合冊にした方が試験時間中の運用はラクですし、トラブルも起きにくい。実際、報告書の中でも、「平成24 年度の「地理歴史、公民」の試験時間帯においては、問題冊子を合冊とすることも検討されたが、問題冊子の取り扱い易さ、技術面や経費面等を考慮し、各教科別の分冊形態が優先され、「地理歴史」と「公民」の問題冊子は各1冊となった。」という記述がありますので、分冊にした合理的理由があるわけですよね(恐らくは、合冊にすると、「中綴じ」形態の冊子で提供するには不可能に近いボリュームになり、経費が増えてしまうから、という、「仕方なし」の選択だったと踏んでいますが)。

そんな状況の中、「合冊にする」という対策法を打ち出し、「合冊化の際には、新たに生じると思われる問題への対処についても、事前に検討策が講じられる必要がある。」と提言するだけでは、先に進まないのではないでしょうか。
「なぜ分冊にしたか」の理由を追求したうえで、代替案を示す。それが対策、ですよね。

他、「監督要領の改善」として、「平成 24 年度の監督要領は、前年度に比べて、指示内容等の分量が増えており、時間繰下げが多発した理由の一つはそこにある。」なんてまとめられても…トラブルにあった受験生は納得しないのではないでしょうかね…。
僕が受験生なら、「なんでそんなこと、最初からわからなかったんだ!」と言いかねないです…。

「想像力」をはたらかせ、トラブルの本質に迫った反省をしなければ、次につながらないのではないでしょうか。

以上で述べた2つのポイントをより短くまとめると…
センター試験当日まで懸命に勉強してきた学生の気持ちに報いるためには、施行者側は徹底的に、「センター試験を実施する」ことにおける

・仕組み(構造)
・仕掛け(機能)
・仕切り(管理)

の3つの側面を考えなければいけない、ともいえますし、さらに短くまとめると

「相手の立場に立って知恵を使い続けること」

が大切、とも言えます。

実はこの2つ、マーケターであり、リサーチャーでもある松尾順氏がブログ上で語っている言葉なんです。

次のページ「教育にもマーケティング脳が必要!」

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

寺西 隆行

寺西 隆行

(株)Z会

文部科学省広報戦略アドバイザー 経済産業省「未来の教室」教育・広報アドバイザー 三島市GIGAスクール推進アドバイザー 等

フォロー フォローして寺西 隆行の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。