史上最大の窮地に立たされるアメリカの老舗百貨店シアーズ。打開策は顧客データマイニングとモバイル・テクノロジーを駆使したポイント・プログラムだというが・・・。
「小売の基本に帰るべきだ」とあるアナリストは言う。私もそう思う。悲しいかな、「シアーズ」と聞いて、私の知るアメリカ人の多くはどういうイメージを抱くか。古く、さびれた、ぼろぼろの店舗。暗い店内に、やる気のない店員。どう考えても、「週末に楽しくお買い物」したい場所ではない。
アメリカでは、ポイント・プログラムは一般的に「ロイヤルティ・プログラム」と称されるが、「ロイヤルティ」とは本来「忠誠心、愛情、きずな」という意味である。皮肉なことに、十中八九間違いなく、ポイント・プログラムを理由にリピート購入する顧客に「ロイヤルティ」は期待できない。そういう顧客は、特典を取り上げたら最後、よそに行ってしまう。顧客から、真の「ロイヤルティ」を得ている企業は、「ロイヤルティ・プログラム」など必要ないのである。それは、アップルのような会社をみれば歴然だ。
愛情はお金では買えない。顧客に愛されるお店をつくるにはどうすべきか。シアーズは、今いちど問い直すべき時に来ているのではないだろうか。
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マインドセット
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ダイナ・サーチ、インク 代表
ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。