2012.02.27
東大数学、今なら解ける!?~そして「ゆとり教育」の反作用へ
寺西 隆行
(株)Z会
2012年度からの中学校教育と、高等学校の理数教育において、新学習指導要領が施行されます。 中学校においては、理科・数学の大幅な授業時間数増加、高等学校では理数教育の新課程先行実施…そこには現教育課程における理数教育に対する危機感を感じとれます。 そんなに理数能力は落ちているのでしょうか? 行われたばかりの、2012年東大入試、文系数学第一問をご紹介します。皆さんの感じるところは…?
こう書くと、「ゆとり教育」の弊害だ!と叫ぶ、これまた団塊Jr.の方も多くいらっしゃると思います。
しかし実は、団塊Jr.自身も、いわゆる「ゆとり教育」への変遷過程の教育課程で学んでいた、と知っている方は少ないです。
簡潔に申し上げると、「詰め込み教育」への批判から、1970年代に日教組が提起した「ゆとりある学校」に基づき、小学校では1980年、高等学校では1982年から授業数の削減は始まっており、2002年度から施行された学習指導要領はその完成形。
だから短絡的に、2002年度から始まった(世間で多くの人が意味するところの)「ゆとり教育」だけを批判してもしょうがないのです。
ただ、「ゆとり教育」の完成形の下、2012年の東大文系数学の第一問において、今回のような問題が出題される状況を見て、やはりこれではいかんのではないか、少し詰め込み路線へバランスを傾斜する必要があるんではないか、と感じるのは、理解できます。
(詳しくは省略しますが、過去の教育史を紐解くと、ゆとり教育~詰め込み教育は振り子のように動いているに過ぎないそうです)
そして、その動きは、小学校では本年度、中学校および高等学校の「理数教育」では来年度から始まる新学習指導要領、加えてそれに基づく具体的な学習内容に、すでに大きく現れています。
多くの方にインパクトが感じられるように、数学ではなく理科に関することですが、わかりやすい文言を抽出します。
Z会で新課程対応教材としてリリースする「理科基礎5days」
サイト冒頭の文章をご覧ください。
「新高1生から、理科は3科目必修! もちろん文系の方も。」
そうなんです。2012年から、文系の高校生でも、いわゆる「物理」「化学」「生物」「地学」の基礎に当たる部分を、4科目中3科目、「必修」となるのです。
(正確には「物理基礎」というように、科目名の後半に「基礎」が付随しています)
また、これらの理科基礎教科、「2単位」相当ではあるものの、多くの先生から「とても2単位相当の教科書の分量じゃない…。3単位、いや、4単位分相当だ。これまでの単位の感覚からすると。」というコメントを頂戴しています。
数学は、2003年度以降に登場した、中高課程の現学習指導要領において、中学→高校へと移った単元がほとんど高校→中学へと揺り戻しになります。おまけに、現行課程では扱われなかった「整数の性質」が新設(と申しますか、過去にあったものが復帰、という感じです)、多くの文系の生徒が入試で必要となる「数学A」に盛り込まれました。
※他、細かな単元変化をお知りになりたい場合は、河合塾Kei-Net「高等学校新学習指導要領のポイント」をご覧ください(PDF)。
http://www.keinet.ne.jp/doc/gl/09/11/toku_0911.pdf
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