2012.02.27
東大数学、今なら解ける!?~そして「ゆとり教育」の反作用へ
寺西 隆行
(株)Z会
2012年度からの中学校教育と、高等学校の理数教育において、新学習指導要領が施行されます。 中学校においては、理科・数学の大幅な授業時間数増加、高等学校では理数教育の新課程先行実施…そこには現教育課程における理数教育に対する危機感を感じとれます。 そんなに理数能力は落ちているのでしょうか? 行われたばかりの、2012年東大入試、文系数学第一問をご紹介します。皆さんの感じるところは…?
かといって短絡的に、理数力の低下に迎合するような出題でケシカラン、東大は何やっているんだ、気骨を見せよ!…などというつもりはありません。
本問を見た、Facebookの友人(団塊Jr.世代です)からのコメントを紹介します。
「東大の問題はいつの時代も奇をてらったものはなくて、その時代の学習状況をきちんと反映したものだったから、なんか拍子抜けしてしまった次第。」
このコメントのとおり、東大の問題は「その時代の学習状況をきちんと反映したもの」なんです。
「東大文系数学において、第一問に出題する問題として適切なのが本問」と出題側が(総合的に)判断した現実がここにあるだけで、迎合しているわけでも、(学力低下に)警鐘を鳴らすわけでもないのです。「選抜試験として適切」という判断があっただけで。
また、(入試で図れる)「学力」にしても、数学の能力だけではないですしね。英語や国語、地歴公民…その他の力をトータルで見なければいけないわけで。
ですが…ですが。
団塊Jr.のオジサンの僕の、偽らざる気持ちとして、“「東大文系数学第一問として表出する問題のレベル」がこのくらいであったら、18歳までの授業で涵養される数学的リテラシーを推し量ると、大学に入り、グローバル社会で勝ち抜く素養を身につけるまでとても時間がかかるのでは…?”と、脊髄反射で思ってしまうのです。。。
タマタマ、ですが、某所で大学生を教えている友人が、今日、Facebook上で、こんなコメントをしていました。
“大学生の学力が低下しているか?については、平均点とか、そういうもんについてはかわっとらんだろう、と。でもね、私の授業を受けた感想で、「因果関係が大事だということがわかった」とか、そういう感想が純粋に書いてある。これまで、高校での学習を通じて因果関係の理解、習得といったことが行われていたはずなのに、それを無視して点が取れるような「教育」が出てきているということだろうと思う・・・。”
この「因果関係」という言葉にぐっと来ました。
今年の東大文系数学、第一問で僕が感じたのは、まさに因果関係(相互作用、という言い方の方が適切かもしれません)の考察抜きに、単純に解ける問題を出題することにいたった背景への、なんともいえない気持ち悪さ、なんです。
数学の問題そのものを解ける、解けない、の話ではなく、ためた知見を組み合わせて解法を導く訓練が、押し並べてされていないのでは…と。
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