エコのふれ込みに騙されたと感じた時、お客様の7割が離れていく

2011.04.21

経営・マネジメント

エコのふれ込みに騙されたと感じた時、お客様の7割が離れていく

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

企業の「地球に優しい」というふれ込みにだまされたと感じた時に、7割の消費者がその商品を買うのを止め、約4割の消費者がその企業のすべての商品をボイコットするという調査結果が最近示された。 米国の調査なので日本の消費者の反応と異なる部分があるかもしれないが、環境経営に携わる者にとっては気になる所なので、この調査の結果についてご紹介する。

環境関連ではないが、最近では、東北地方太平洋沖地震後、企業がCMを自粛した際に、民放テレべ各局がそれぞれの判断で社団法人のACジャパンの公共広告で穴埋めを行ったが、あまりにも大量であったこと、CMのトーンが暗かったり、震災と関連のない内容ものであったりしたことに対し苦情が殺到し、同法人制作のCMの最後に共通して流れる「エーシー」というサウンドロゴを急遽削除したものを作り直さなければならなかった例がある。

幾ら企業の環境負荷低減において消費者が寛容であるからといっても、消費者は膨大な環境関連情報の一方的な提供に苛立ちを見せ始めており、中途半端あるいは抽象的なものでは費用を掛けてコミュニケーション、マーケティングを行っても、トータルで見ればネガティブな印象を与えるだけになる。これでは、商品・企業の環境負荷低減に対する効果・成果が乏しいのであれば下手にこの領域でアピールするよりも黙っていた方が良い。

また、75%の回答者が「企業には、使っている環境用語をもっと分かりやすく説明してほしい」と望んでいる。説明が必要な表現の例としては「堆肥化が可能」「リサイクル可能」「100%天然素材」などが挙げられている。例を見る限り、これらは言葉の説明というより、実際の所どうなのかという説明がほしいということではないか。

例えば「堆肥化が可能」「リサイクル可能」というのは可能性を言っているだけで、実際の所、どれだけ堆肥化されるのか、リサイクルされるのかあいまいだ。実際に堆肥化、リサイクルに回されなければ、「堆肥化が可能」「リサイクル可能」であっても地球環境の負荷の低減には貢献しない。「100%天然素材」はあらゆる素材が100%天然素材なのか、一部の素材のみなのか。そもそも天然素材を使うことと環境負荷低減はイコールなのか。そういったことが分かりにくいということだろう。突き詰めると、消費者のこの要望も、「この商品は環境負荷を低減しているという貴社の謳い文句を裏付ける明確な情報や説明がほしい」という思いを映したものと考えられる。

このように見ていくと、今回の調査から得られた商品の環境負荷低減についてのコミュニケーションのあり方は、
1. 具体的な環境負荷低減効果のある商品を開発する
2.その効果について正直かつ具体的裏付けを示した上で伝える
3.中身が伴っていないのであれば、それが伴うまで安易に環境負荷低減効果を謳わない

といった所であることが伺える。

中ノ森 清訓/株式会社 戦略調達 代表取締役社長

調達・購買業務に関わる代行・アウトソーシング、システム導入、コンサルティングを通じて、お客様の「最善の調達・購買」を実現することにより、調達・購買コスト、物流費用、経費削減を支援する傍ら、日本における調達・購買業務とそのマネジメントの確立に向け、それらの理論化、体系化を行なっている。コーポレートサイト: http://www.samuraisourcing.com/

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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