パッケージ・ソフトウェアの輸入販売から始まったアシストが、顧客からの要望を受けてコンサルティングを提供し始めた当初は、独立した事業部としてではなく、商品ごとに使い方を支援したりするスポット的なものだった。2004年、正式にコンサルティング室が発足し、石原洋はその室長を務める。
「コンサルティングの仕事で言うと、まずお客さんに“何のためにそれをするのか?”との問いから始まる。この質問はMUSTであり、コンサルティングを行う上では必ずこれを明確にしてから実施しなければいけない。このコミュニケーションが一番難しい」
「人はコミュニケーションを取る時、相手の仕草や表情、声のトーンなどから、その人の心を読み取っている。この最初の読み取りを間違うと、後のコンサルティング自体に大きな影響を及ぼす」
「もちろんコンサルタントとしては、“こうではないか”、といった自分の意図する方向がある。しかし例えそうであっても、指示やお願いをしてその方向に誘導すべきではない。お客さん自身が気付いたと思わせることで、やらされている感覚ではなく、自分でやったという達成感を持って喜んでもらえるから。それがコンサルタントとしての達成感にもなる」
「そしてお客さん自身の中でゴールが明確になったら、そのために何をしていけばよいのかを、お互い共感しながら確認していく。それが、”いざなう”ということ」
つまり、ポイントは相手に考えてもらうこと。コンサルタントが方向を示し、導くのではなく、“いざなう”というコミュニケーション手法によって、「コンサルタントに道を決められた」ではなく、顧客自身が「自分で導き出し、達成した」と思えることが必須なのだ。
コミュニケーションのツールとして使うのは「質問」である。質問の仕方次第で、答えを自分の好きなようにコントロールすることができる、と石原は言う。相手を知る上で質問は重要な武器なのだ。
コンサルタントとして自分が考えたストーリーに基づいて質問をしていくが、想定している方向まで相手が到達できるかどうか、相手に問いかけて情報を集めていく。相手がそれをできるかできないか、それをやるために必要なスキル・レベルはどの程度で、実際どれくらいのレベルがあるかを、質問から拾っていく。
「コンサルの場合は、“僕はこう思うんですが、世間一般ではこうすることが多いですね、どう思いますか?”と、会話の最後を疑問符で終わらせる」
「最初から難易度の高い問いかけをするとつまってしまうので、質問は簡単なものから、徐々に難しくしていく。そうすると難しい質問にも答えられるようになる」
「会話は生ものなので、話をさえぎらない、頭ごなしに否定しない、理屈で責めない、は鉄則」。
この”いざなう”テクニックは、コンサルティングだけでなく、あらゆる交渉ごと、上司と部下の関係、または親子関係においても適用できると石原はいう。
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