企業は創業に始まり、離陸、成長、安定と段階(ステージ)を踏んでいく。ステージが異なれば、経営の力点、手法も変わってくる。調達・購買も例外ではない。今回はそうした事例について紹介する。
それが今では撤退する郊外型ファミリーレストランから頼りにされる存在だ。2007年以降、競争激化や景気低迷で郊外型ファミリーレストランの退店が相次いでいる。リストラクチャリングを進める店舗、チェーンも無料では退店できない。撤退するにも原状回復など多額の費用がかかる。居抜きで退店するには、現状のまま引き受けてくれる新しい借主、買い手が必要だ。そうした借主、買い手が見つからなければ、退店を引き伸ばすか、費用を掛けて現状回復するしかない。そんな中、ロードサイドの居抜き物件専門で積極的に店舗を出店している同社は駆け込み寺のような存在だ。
撤退店ばかりとはいえ、出店候補地の情報が数多く集まることは同社にとってもメリットがある。リストラクチャリングを進めるファミリーレストランの駆け込み寺のような存在になることで、現在、同社には多くの物件が持ち込まれるようになっている。持ち込み物件だけに、交渉は同社が有利に進められる。条件に見合わなければ、同社は見送れば良い。
出店するにも適した物件を見つけるのは簡単ではない。エリアマーケティングを行い、オーナーとの出店交渉。時間も人手も掛かる。大手チェーンの撤退物件であれば、ある程度のエリアマーケティングが行われている。また、撤退する状況に追い込まれているにしても、実際の来店客のデータが取れているのもまったく新規に出店するのに比べて心強い。何よりも、新店開発の初期投資が約10分の1で営業開始ができるので、非常に採算が取りやすくなっている。
スケールがない中で、スケールを追求しても効果がない。規模が小さなベンチャーが、大手の真似をしていては、大手に適う訳がない。調達・購買コストの低減をもたらすものはスケールではなく、その企業のステージにあった買い方だ。
中ノ森 清訓/株式会社 戦略調達 代表取締役社長
調達・購買業務に関わる代行・アウトソーシング、システム導入、コンサルティングを通じて、お客様の「最善の調達・購買」を実現することにより、調達・購買コスト、物流費用、経費削減を支援する傍ら、日本における調達・購買業務とそのマネジメントの確立に向け、それらの理論化、体系化を行なっている。
コーポレートサイト: http://www.samuraisourcing.com/
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます