2007年3月、アシストは社内の標準オフィス・ツールをMicrosoft OfficeからオープンソースのOpenOffice.org*へ全面移行した。その背景と導入時の苦悩を、アシスト公開ソフトウェア推進室神谷昌直が語った。 *OpenOffice.orgはワープロや表計算などの機能を持つオープンソースの統合オフィス・ツール。Microsoft Officeと互換性があるだけでなく、無償で自由に利用することができる。
社長命令でなければ誰も移行したがらないOpenOffice.org。社内の当初の冷ややかな反応をみると、トッテンの言うとおり、「オープンソースの浸透を妨げているのは技術の問題ではなく、変化への抵抗と新しいことを覚えるのは面倒といった気持ちの問題だ」と神谷は言う。
■プロジェクトチーム発足と浮かび上がった課題
こうして2006年5月、社内に公開ソフト事業推進室が作られ、神谷が責任者としてアサインされた。メンバーは神谷を含めて4人。BI製品部門から簑輪哲彦と石倉務、データベース部門から小川知高、その後サポートセンターから本田益之、そしてOpenOffice.orgに詳しい谷列樹が中途でメンバーに加わる。
2006年9月~10月に OpenOffice.orgのテスト導入と事前調査を行った。テスト利用することで問題点を洗い出し、事前に解決策を見出していくことを目的としたものだ。オープンソースは誰もが自由に利用することができる反面、自らが利用方法について工夫し、自らが問題解決を行うことが前提となるからである。
OpenOffice.orgの展開において、ダウンロードやインストールは社員各自に任せることにした。社内イントラからダウンロードするようにし、インストールは手順書を用意してイントラに掲載した。同時にMicrosoft Officeの利用状況の調査や、社外と社内における移行時の課題を調査するためのアンケートを実施。それらのアンケート結果を移行可能性判断やコスト削減効果の試算を行うための材料とし、その際の判断基準をチェックシートとしてまとめた。
これによって明らかになった移行時の課題は次の3つ。
(1) 社外とのファイル交換(顧客を含め、他社のほとんどはMS-Officeを使っている)
(2) 社内の既存システムとの連携
(3) Excelの一部の操作手順を自動化するためのマクロ機能の変換
(1) についてはセキュリティのこともあり、基本はPDFでやり取りし、Microsoft形式が必要な場合はOpenOffice.orgのMicrosoft Officeファイル変換機能を利用し、社外へ送信する前に、MS Viewer(MS Officeのファイルを閲覧、印刷するための機能で無償で提供されている)にて確認した。(2)はExcelとAccessを使ったシステムだったのでExcelはOpenOffice.orgのCalcに、Accessは無償のAccessランタイム版を使用。(3)は経理部が利用していたが、マクロ変換の準備が整い次第、移行することにした。
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