東芝が、部品や材料などの調達費を今後3年間で計1兆円削減する方針を明らかにしました。 今回は、この取組が示すものについて考えていきます。
また、日本では、従業員の解雇も行いにくく、メーカーの経営者は製造を自社の強みと考え、ぎりぎりまで国内に残すことを考える傾向にありますので、東芝のように材料・部品レベルで海外調達比率を高めていくことになります。
材料・部品レベルで海外調達比率が高まっていく中で、果たして、調達・購買部門を日本に残しておく企業がどれだけあるでしょうか?
製造現場と比べて、調達・購買機能を重要と考えている経営者は残念ながら非常に少ないのが現実です。これは原価に占める製造コストより調達・購買コストの比率が高まっている現在においても変わる気配がありません。
調達・購買の仕事を進めるにあたっても、サプライヤが集積する地域で仕事をした方が、情報も集まりますし、各サプライヤのラインの状況の確認も容易に行えます。その時に、調達・購買担当者が日本人である必要があるでしょうか?
現地のスタッフの方が、サプライヤとのコミュニケーション能力も高く、コストも低い。
残念ながら、調達・購買部門を日本に残しておく必然性はありません。
東芝の事例が示唆しているのは、今後の調達・購買機能のあり方として企業は、グローバルに最適地からモノを引っ張ってくる能力を構築しなければならないということです。それが、日本を中心に行うべきか否かは、対象となっているサプライヤが日本に多くいるかいないかによります。誤解して頂きたくないのですが、日本から調達・購買部門がなくなることを望んでいる訳でも、そうすべきだとも考えている訳ではありません。
反対に、日本から調達・購買部門がなくなってしまえば、私の会社の仕事もなくなってしまうので、忌忌しき事態です。
しかし、物事を考えるにあたっては、希望と事実を明確に分ける必要があります。今回の記事は、べき論、理想論としてかくあるべきではなく、調達・購買部門が置かれている状況はこうなっているという事実として捉えて頂きたいと考えています。
そして、調達・購買担当者としてあなたが考えなければならないのは、
言葉も文化も違うサプライヤを相手にグローバルに最適地からモノを引っ張ってくる能力が、現地スタッフの給料よりも数倍高いのに見合うほど、数段高いことを示していかなければ、日本から調達・購買機能がなくなる
ということです。中ノ森 清訓/株式会社 戦略調達 代表取締役社長
調達・購買業務に関わる代行・アウトソーシング、システム導入、コンサルティングを通じて、お客様の「最善の調達・購買」を実現することにより、調達・購買コスト、物流費用、経費削減を支援する傍ら、日本における調達・購買業務とそのマネジメントの確立に向け、それらの理論化、体系化を行なっている。
コーポレートサイト: http://www.samuraisourcing.com/
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます