戦後の高度成長期からマーケット競争の構造は複雑化しました。それは、現在の会社組織の鏡に映る姿です。今の組織体に求められていることは、時代の変化に対応した「社員の持ち味と潜在力」なのです。今回は、その時代背景に沿ってお話します。
消費ニーズに応えていればよく、変化のスピードも今ほど求められなかった時代の競争力の源泉は、社長が作る時代だったと言っていいと思います。
パナソニックや、ホンダや、ソニーや、キャノンなどの現エクセレントカンパニーの多くが、社長の情熱と馬力の強さとで創業期から成長期を駆け抜けてきたのです。
これらの企業も中堅を過ぎメガカンパニーとなって、社長の情熱と馬力だけではやっていけない、組織力の必要な時代になってから、企業体質の変化(主として悪化)にあがき苦しみ、ジクザグな成長グラフを描くようになっていったのでした。
変化のスピードと独自性の時代は、社長一人の能力では間に合わない時代です。
社員の持ち味と潜在力が、時代のアンテナであり、世の中へのアンテナとならなくてはならない時代に完全に切り替わっているのですが、企業内の構造がそうなってはいない、要するに時代の変化に対応仕切れていない企業のほうがまだまだ多いと私は思います。
「変化のスピード+独自性」=「社員の持ち味+潜在力」という数式が成り立つとすれば、社員の持ち味と潜在力そのものに独自性、他社と違うものを作っていかなくてはならないいということが言えると思います。
■□■ 家族経営→個の経営→組織力経営 ■□■
それでは、どうやってこの「社員の持ち味と潜在力に独自性を持たせ」「それを最大限に発揮させる」ことをしていけばいいのか。
これから、その鍵を握ってくるのが組織風土だと私は思っています。
高度成長時代に必要だったのは、社員を長く繋ぎとめるということ。
この時代は「家族経営の時代」です。
低成長時代に入って、価値創造が必要になってきた時代には、社員一人ひとりの能力やモチベーションに目を向けることが必要になりました。
これが「個の尊重の時代」です。
そして、変化のスピードがさらに加速し、独自性もさらに必要になって来た時代には、個ではなく「組織全体の能力発揮度=組織力」が必要になってきます。
これが「組織力の時代」です
個の尊重の時代には、どちらかというと組織は、社長から新入社員までのヒエラルキーの縦のラインで情報が流れ、マネジメントもされてきました。
一対一のマネジメントが基本で、マネジャーのコミュニケーションスキルや人間性に左右される部分が多かったことは否めません。
組織を率いるマネジャーのマネジメントレベルを上げることを止めてはいけませんが、それだけでは追いつかない時代になっていると考えなくてはなりません。
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今野 誠一
株式会社マングローブ 代表取締役社長
組織変革及びその担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。 設立以来15年、組織変革コンサルタント、ファシリテーターとしてこれまでに約600社の組織変革に携わっている。