企業は「買う」を超えて考えないと、もうすぐ行き詰る。

2010.06.01

経営・マネジメント

企業は「買う」を超えて考えないと、もうすぐ行き詰る。

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

外食企業の農業参入への動きが進んでいます。 実は、この背景には、食の安心・安全意識の高まりや農業を巡る規制緩和の他に、経営の前提の幾つかが大きく変わっていることにあり、原料・素材の確保について考えなければいけないのは、他産業にも当てはまることです。 今回は、経営の前提の何が変わり、それにどう対応すべきかについて見ていきます。

このような中では、短期的には調達・購買部門としては、便乗値上げの防止、モノの確保といったこと以外にできることはありません。仕様の変更による使用量の削減、代替素材への切り替えの検討など、他に手はないことはありませんが、これらは、どちらかというと中長期的な取組みになります。

他にも、メジャー化するサプライヤに対抗する上での共同購買、同業他社や類似業種との事業提携、M&Aによる統合といった手はあります。また、資源を直接確保するといった意味での川上との垂直事業提携、資源権益への出資、川上企業の買収といった手もない訳ではありません。

しかし、これらも、短期的な手段ではなく、中長期的なものです。そう、短期的に原料・素材分野で調達・購買部門ができることはあまりない、これが現実なのです。

だからこそ、短期的な目の前のものを確保するという問題の解決に追われるだけでなく、中長期的な代替手段を同時に考えていく必要があります。どの原料、素材分野であっても、こうした構造変化の動きを肌で感じているのは、経営者ではなく、その市場に日々対面している調達・購買部門とその担当者です。

相場を張ったり、交渉といった短期的な手段では、もうすぐ行き詰まりがくること、使用量の削減、代替素材、事業提携、川上への出資など、自身の担当している市場で最も有効な方策は何なのかといった中長期な戦略についての情報発信ができるのは、調達・購買部門とその担当者に他なりません。

外食企業に留まらず、様々な業種において、「事業提携やM&Aは経営者が考えること」「自分達は目の前のものを1円でも安く買うのが仕事」というモノを「買う」という発想を超えた中長期的な調達・購買戦略の提唱、推進が調達・購買部門の一つの大きな役割になってきています。

中ノ森 清訓/株式会社 戦略調達 代表取締役社長

調達・購買業務に関わる代行・アウトソーシング、システム導入、コンサルティングを通じて、お客様の「最善の調達・購買」を実現することにより、調達・購買コスト、物流費用、経費削減を支援する傍ら、日本における調達・購買業務とそのマネジメントの確立に向け、それらの理論化、体系化を行なっている。
コーポレートサイト: http://www.samuraisourcing.com/

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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