これまで三回続けました事業仕分けから支出管理の典型的な手法をご紹介する「事業仕分けを仕分けする」、今回で最終回です。
事業仕分けのニュースを見ていて、あなたも疑問に思ったのではないでしょうか?
「なぜ、誰が見ても一目瞭然のムダな支出がこう簡単にまかり通るのか?」
たとえば、
エネルギーや原子力への理解を求めた財団法人 日本立地センターの女性誌への雑誌広告では、
●そもそもの意識調査が十分統計学的に処理されていない
●国の原子力安全行政の中で女性にターゲットを絞ることはあまり意味がない
●既に色んな独法や公益法人で広報事業が行われており、この事業が女性を対象に料理教室などを開催しながら、エネルギーや原子力について考えた様子を雑誌に掲載することが、どういう波及効果があるのか不明
女性の労働環境、就業支援、健康促進を行なう財団法人女性労働協会の女性と仕事総合支援事業に対しては、
●東京に箱モノを持ち、この財団に非競争的に国費を出すことは正当化されない
●同様の事業は自治体・民間で多数行われており、国として実施する特段の理由はない
水環境保全のための魚類繁殖場調査及び生物多様性の学習用簡易評価手法を開発する社団法人 日本の水をきれいにする会に対しては、
●調査能力も全く欠如しており、業務委託先として不適当
●こういう団体に発注を認めてしまう発注側(環境省)の姿勢についても問題がある
●このような発注が認められれば何でもあり、になってしまう
●この法人のための事業発注になっているのではないか
宝くじの普及宣伝を行なう財団法人 日本宝くじ協会、財団法人 自治総合センターについては、
●天下りの方々の高額給与の問題、過度に豪華なオフィス、複雑な交付形態、無駄な宣伝広報事業
●自動的に宝くじの収益がこれらの両団体に流れ、自治体による実質的に自主性を持った公益事業が行われていない
といった指摘がなされています。これらの指摘はもっともですが、見れば見るほど、「こんなの予算をつける前にチェックできるよな」と思わざるを得ないことばかりです。
これらのケースは、明らかに、予算策定と執行段階のマネジメント、チェック機能が行政においてまったく働いていないということを示しています。「だから、事業仕分けをやっているんだ」という反論もあるかもしれませんが、今のところ、事業仕分けは個々の案件をもぐらたたきのように叩いているだけで、予算策定と執行段階のマネジメント、チェック機能が行政においてまったく働いていないという問題に正面から取り組んでいません。これでは、いつまで経っても、ムダはなくなりません。まあ、当人達は、汗をかいて、「国民のために良いことをしている!」と気持ちよくなっているのかもしれませんが。
次のページ決めた範囲の中で予算を組む、予算にキャップを設ける
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます