タイトルだけだと誤解されるかもしれませんが、事業仕分けへの批判ではありません。 事業仕分けは、企業で用いられている支出管理、コスト削減、経費削減の手法の典型的なものの幾つかと重なりますが、あまりにも基本的な故に応用が利きます。 事業仕分けをケースにムダな支出や支出管理の手法を整理する。二回目の今回は、「(2)最善の事業主体を選ぶ」です。
最善の事業主体を選ぶと言うのは簡単ですが、やるべき事は非常に沢山あります。
仕分け人は支出管理の専門家ではないので、具体的にそれを実現するための提案というのはあまりしていませんが、事業仕分けでは大きく分けると最善の事業主体を選ぶにあたって、1.国、都道府県、市町村、独立行政法人や政府系の公益法人や民間への委託などあまたある事業主体の中で、最適な事業主体を考える、2.競争的に事業主体を選定するの二つの指摘が多くなされています。今回は、これらの二つのポイントについて見ていきます。
■ 最適な事業主体を考える
先月の事業仕分けで対象となったものに、社団法人 雪センターの効率的な冬期路面管理手法に関する検討業務や防雪施設等の整備方法や既存施設の点検・評価に関する検討業務があります。
これらは、国が管理する直轄国道の除雪、路面管理、雪崩や吹きだまりなどの防雪施設等の効率的・効果的な方法、整備方法などを検討・検証するというものです。これまでは、雪センターが国から委託を受け、データの計測、整理、分析や新技術の適用方策の検討などについては、更に外部に委託しながら実施しています。
これに対して仕分け人の判定は、
- 国土交通省の出先機関である各地の地方整備局の現場技術者の仕事
- 「雪に関する総合的調査」を日本橋のオフィスで行えるとは信じ難い
- 全国で蓄積された知見の活用や、現場間ならびに同種の検討を行なっている地方自治体との連携は必要だが、センターの存在意義はない
といったものでした。調査の意義は認めているのですが、雪センターの業務は現場改善であり、現場改善は中央が外部に委託して行なうのではなく、現場でないとできないという判断です。
企業で言えば、物流やITなどの機能子会社を作ったものの、結局は、業務改善・企画機能は現場で持たざるを得ず、機能子会社は本社の企画部門と外部専門企業との間の取次ぎに過ぎなくなっているといったところでしょうか。
現在は、こうした機能子会社を各企業が抱えることについて疑義が生じ、物流やIT、人事関連などの機能子会社の外部専門企業への売却が進行しています。雪センターもこうした取次ぎだけの機能子会社と同じと判定されたようです。
現場改善は現場で行なうものです。業務の企画・マネジメントはその業務の担い手が行なうべきものです。各現場での連携、ナレッジの共有は、現場間の改善成果の共有会やナレッジマネジメントを工夫することでできることが多々あります。コア・コンピタンスでないものや専門的な技術が必要とされるものについては、外部を活用すべきですが、その際には価値のない中間業者を排除するのは当然です。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
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