「英語が出来るようになるにはどうやったら良いですか?」と、これまで何千回も聞かれました。 当社には英語専門の先生がいるので、私は担当外ですが、いつも思うのは「『勉強するため』の勉強」が足りないのでは?という点です。
このように目標設定は、すべての努力のスタートです。その目標に向けて進むための方策、ルートをしっかり検証することは、実は英語の勉強の前にきわめて重要になるものなのです。あるベンチャー企業のCEOの方が個人トレーニングにお申し込みいただいた時、私は英語の先生とともにその会社でCEOとお話ししました。「英語が出来るようになりたいんで」と説明されるCEOに、私は「英語が出来てどうされようとしているのですか」と尋ねました。最初不本意そうにされていたその方ですが、私が目的によってルートが異なる、と説明したことを瞬時に理解してくれ、要は「海外でプレゼンをするのだが、その際に作った原稿を読む程度は今でも出来る(一流大学卒の方ですし)、しかし質疑応答を通訳を介さないで行いたい、そしてそれをカッコ良くやりたい」という本音まで話してくれました。
ここまで開示していただければこちらは明確なルート提示が出来ます。英語力を漫然と上げる、なんて3年も5年もかけたって達成できない無理な目標でなく、3ヵ月後の出張でプレゼンをカッコ良く出来るようにという明確なゴールを設定し、トレーニングが出来ました。
結果ですか?その方はプレゼン当日、英語でスクリプトを読みつつ、日本語交えて質疑応答に対応されました。しかも通訳付きで。
え?じゃあダメじゃん、金返せ、って言われたかですって?
とっても感謝していただけました。
言ったじゃないですか。その方は「カッコ良くやりた」かったんです。出来もしない英語でオロオロしながら、目が泳ぎながらやるQAセッションのどこがカッコ良いですか?
スクリプト読みは元々出来るから当然として、全くのフリーQAでも、日本語で対応する時同様、「出来ること」「出来ないこと」を明確に区別できるようになったのです。
英語で言われるとなんとなくたいしたこと無い内容でも立派に聞こえたりすることあります。しかし本筋と関係ないこと、聞かれたって答えようのないこと、それらを区別できると、堂々と答えられるのです。
その区分けを徹底的に行った結果、その場で受けたほとんどの質疑に堂々と答え、テクニカルで説明が難しいことのみ、「私の英語では説明できるほど当社の技術はシンプルではないので」と笑みを浮かべながら通訳さんを通してキッチリ説明できたということでした。
この堂々ぶり。十分「カッコ良い」プレゼンだったと社員の方からもうかがいました。
「戦略的目的」設定が出来れば、3ヶ月でも大いなる進歩を遂げることが出来る。私は信じています。
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株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。