ゲゲゲの水木しげるから学んだキャリア観「時機を待て」

2010.11.18

ライフ・ソーシャル

ゲゲゲの水木しげるから学んだキャリア観「時機を待て」

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

スピード経営、ドッグイヤー・インセクトイヤーといった、成果達成への速度は何より重視される現在の環境。ところが昨今の風潮の真逆のキャリア観について、水木しげる先生がおっしゃった待ちの姿勢を考えてみましょう。

タイトルにゲゲゲと入れると、中身が無くともビューが上がるというネットの法則らしいので入れてみました。もう遅いですか?さてさてゲゲゲの女房が、どう「戦略思考」につながって行くのでしょうか。

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今年は「ゲゲゲの女房」でした。大河ドラマが風林火山の途中あたりからキツくなり、篤姫で完全リタイア。天地人は論外として、坂の上の雲で盛り返したものの、竜馬伝はやっぱり・・・・というドラマ不調の時代。漫画家水木しげる先生が極貧の中からジャパニーズドリームを掴む過程を見事に描いた「ゲゲゲの女房」は傑作だったと思います。毎週わくわくした視聴者として、深いなと一番感じたのはやはりビンボー時代の心構えです。

とにかく何をやっても貧乏から抜け出せない水木しげる先生ですが、貧乏そのものは怖くないと言います。自ら南方戦線で死に損なった体験を持つ水木先生は、「時機」というものが必ずあって、時機に至らないのに無理を押すと、必ず失敗するという信念を持っていたようです。

これは経営にも通じることなのではないでしょうか。うまく行く時、そうでない時、さまざまあります。自らのミスは自己責任ですが、どれほどがんばっても成果につながらない。ビジネスではよくあることですね。

さらにキャリアというものも、ビジネス同様、あてはまるように思います。つまりクオータリーとか半期とか通期とかの短い期間の視点ばかりが重視される昨今ですが、そもそも経営や人生というものはロングタームの側面もある訳です。

ツキの流れとか、ツキの量なんてことも博徒ドサ健から学びましたが、これまた終戦直後の話ですね。水木先生同様、戦争という死線を彷徨った方々には、正に「生命」というロングターム、ライフロングな視点を意識するものなのかも知れません。

大学生や大学院生のような、社会人経験の無い人たちと面談していると、「がんばりました」とアピールされることが多いのですが、ビジネスをしていると、頑張っただけでは評価されないのは普通です。頑張らなくとも結果を出せば評価されるしチヤホヤしてもらえます。
問題はこんな時のモチベーションであり、心構えなんです。

水木しげる先生が極貧のどん底時代、「時機を待て」と言い、紙に書いて家の中に張り出します。でも待てずについ、妥協をしてしまう弱さも人間のサガ。
もちろん水木先生はそのどん底を耐え抜いたからこそ、今という栄冠があるのでしょうが、それでもドラマの中でそうした人間らしさを見せています。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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