先週は、日本コカ・コーラの植物由来の素材を使用したペットボトルを紹介しましたが、ペットボトルにおける環境負荷削減には、軽量化というもう一つ別の方向性があり、この分野でも、日本コカ・コーラが先行して軽量化ボトルのブランド化を図るなど牙城を築いてきました。しかし、その牙城に敢然と立ち向かう挑戦者が現われました!果たして、この熾烈な競争の果てに残るものとは???
サントリーは、軽量化にあたり、樹脂の使用量削減だけではなく、ボトル形状の設計を見直す事で、単位樹脂量当たりの耐荷重強度を増す事により、今回の軽量化を達成したとの事です。
今回のサントリーのコカ・コーラに対する挑戦を、弊社では非常に好ましいものと捉えています。これまで、飲料業界の競争は、次々と新製品を投入する事を中心に展開されてきました。しかし、飲料の種類に応じて、一人ひとりの飲む量が掛け算で増えていく訳ではありませんので、市場の拡大にはあまりつながりません。
サプライチェーンマネジメントの観点からは、SKUの数だけ在庫が膨らみ、オペレーションも煩雑になり、コストも掛かるばかりで、むやみにSKUを膨らませるのは、あまり得策ではありません。
そうした中で環境負荷削減が新たな競争の軸となれば、全く違う展開が見えてきます。両社や他のメーカも加わって環境負荷削減を訴えていく事により、消費者がそれを価値として認めるようになる事が期待されます。今は、軽量化ボトルにプレミアムが付く訳ではありませんが、環境負荷削減が価値として認められれば、軽量化ボトルの飲料は、10円、20円増しでも売れるようになるかもしれません。
現在の政治の停滞を見ると、日本の人口減は後10年は続くでしょう。量を追っていては、市場は自ずと縮小していきます。人々の生活の安定には、国内市場の縮小を食い止め、拡大させていく事が不可欠で、そのためには、国内市場では、量ではなく、価値を高めていくしか手がありません。
これまで、価値の拡大=多機能と考えられていましたが、90年代以降、多機能による価値訴求は頓挫しています。これからは、環境負荷の削減、精神的豊かさなど、物に捉われない価値を訴求し、価値として認めてもらう事が、数量的には縮小せざるを得ない国内市場で生き抜く一つの方策でしょう。
物に捉われない価値を提案していく事は、資源に頼らない価値提案であり、持続的成長につながります。ここでは、アイディア、知恵、工夫が価値を生む源泉となります。
「日本では省資源、省エネルギーはもうやり尽くした」という話は良く聞きますが、アイディア、知恵、工夫はあきらめない限り、無限の可能性があります。環境負荷削減が新たな競争の軸となれば、更に色々なアイディアが出てくるのではないでしょう。競争は、イノベーションを加速させます。
例えば、サントリーの挑戦をコカ・コーラが受けて立てば、飲料容器の軽量化はますます進んでいくでしょう。容器の軽量化をつきつめていくと、容器がなくなるかもしれません。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます